原稿の締切が近いときに限って、
何故か、急に、無性に、本が読みたくなります。
もう、我慢できないほどに……。
もしかしたら締切に間に合わないかも、
という、背徳感のようなものが、読書という行為に、
絶妙のスパイスを加えているかのように、
あるいは、ある種の媚薬であるかのように作用し、
さらなる悦楽を与えてくれるからかもしれません。
しかも、時間がない、と思っているから、
恐ろしいほどの集中力を発揮します。
大学受験のときも同じでした。
ぼくは、おそらく、浪人していたときが、
人生で一番本を読んだと思います。
(だから結果が……)
忙しいとき、時間がないときに限って、
他のことをやりたくなるのは、
ないものねだり、というより、
逃避行動のひとつかもしれませんねえ……。
読書もそうなのですが、ぼくにとっては、
フィールドワーク、つまり、きのこ探しも、
思い立ったら我慢できないもの、と言えるでしょう。
1日に、2度、3度と森へ出かけることも、
珍しいことではありません。
雨がざあざあ降っていても森へ行きたくなる。
真冬に、野外で、ぴちぴちしたきのこが見たくなる。
原稿の締切が近ければなおさらです(笑)。
雨などのお湿りは、カビの仲間であるきのこは大歓迎。
森もしっとりと濡れてとてもいい雰囲気です。
しかし、真冬に、野外で、ぴちぴちのきのこが見たい、
となると、これは、なかなか大変です。
(サルノコシカケ科など多年生のきのこはありますが)
そんなときの、強い味方が、我がヒラタケ。
なんと、ほぼ1年を通じて見ることができるんです。
主に、広葉樹の倒木や枯木や枯枝などに、
重なり合って発生します。
傘は直径5〜15cmくらい。
基本的には半円形〜扇形ですが、
柄があるきのこのようにロート形になることも。
表面は白灰色〜灰褐色〜暗褐色、ときに、薄紫色。
幼菌はけっこう白かったりします。
ヒダはやや疏く、白〜帯黄色。
柄がないことの方が多いのですが、
あったとしても長さは1〜3cmほど。
色は白く、基部に白い毛が密集しています。
食。
優れた食用きのこです。
特に、早春と晩秋に発生するものが肉厚でグッド。
多少全盛期の勢いがなくなりつつあるようですが、
人工栽培も行われています。
冬でもぴちぴちしたきのこが拝める。
しかも、食べたらおいしい。
ヒラタケ、さまさまです。
ちなみに、ぼくにとって、
思い立ったらとうてい我慢できない、
というもののナンバー1は、
夜中に突然ラーメンが食べたくなること(笑)。
ふふふ、阿寒湖は、
森と湖に囲まれたすんごい田舎ではありますが、
北海道では有名な観光地なので、
深夜営業のラーメン屋さんがあるんです!
ああ、またラーメンが食べたくなっちゃう……。