森の地面をおおう、緑、緑、緑。
もしかしたら、この写真をご覧になって、
コケだと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、
よく見てください、コケではありません。
(ちょっとだけ、コケも写っていますが……)
この緑色の「げじげじ」の正体は、ヒカゲノカズラ。
シダの仲間で、日当たりのいい森の地面で見かけます。
ヒカゲノカズラ、という名前なのに、
日当たりのいい場所に生えるって変じゃない?
と、思った方は、するどい!
でもでも、実は、
ヒカゲノカズラの「ヒカゲ」は日影のこと。
つまり、太陽の光や、陽射しって意味です。
(日が当たらない場所は「日陰」)
日本語はややこしいですよねえ……。
ヒカゲノカズラは、古事記や万葉集にも、
「日影(ヒカゲノカズラの意)」の名が出てるほど、
昔から親しまれている植物なんです。
新年や祝いの席などに飾る風習があったとか。
あ、いけない、いけない、ついつい、
隠花植物好きが暴走してしまいました……(笑)。
主役は、きのこです、はい。
ヒカゲノカズラの中から姿を現したきのこは、
キハツダケです。
キハツダケ?
キハツタケ、ではなくて?
そう、きのこの名前で、
エノキダケ、ベニテングダケ、などと、
濁って発音するのは、多くが方言か勘違いで、
和名的には正しくないのですが、
キハツダケは、ダケ、と濁るのが正式なんです!
さて。
キハツダケは、夏から秋にかけて、
トドマツなど針葉樹の林地から発生します。
傘の直径は、6〜15cmくらいで、
まんじゅう形から平らに開き、最後はロート形に。
湿っているときには、やや粘性があり、
最初は白っぽく、クリーム色〜黄色系に変わります。
ヒダはやや密で、柄に向かって垂れていて、
最初は白く、成長すると帯黄色に変わります。
傷をつけると、白い乳液を分泌しますが、
やがて、緑色へと変化します。
この、色が緑色になるところが、
キハツダケの第一の特徴ではないかと。
柄は高さ4〜6cm、直径1.5〜3cmくらい。
クリーム色で、中空です。
基本的にはやや苦味があって、
それほどおいしくはないようですが、
一応、食べることができます。
あまりオススメはしませんが……。
ちなみに。
きのこの数ある和名の中で、
なになにダケ、と濁って発音するものは、
ぼくが知っているかぎりでは、3つしかありません。
キハツダケ、カヤネダケ、そして、
ぼくの仕事部屋にもありますが、
ドコモダケです(笑)。