北海道の森は、マツなどを中心にした、
針葉樹の森のイメージがあるかもしれませんが、
阿寒湖周辺でいちばん多く見られる森林形態は、
何を隠そう、針広混交林なんです。
湖、川、沼、湿地のほとりなど、
太陽の光がよく当たる場所には、
明るさを好む広葉樹がたくさん生えており、
北海道の環境にぴったりの針葉樹と合わせて、
針広混交林を形成している、というわけ。
山火事や開発などで森にぽっかり空間ができると、
真っ先に生えてくるのはシラカバなどの広葉樹です。
ぼくは、きのこや粘菌やコケや地衣類など、
今では死語となりつつある「隠花植物」というくくりの、
ややマイナーな生物群が大好きなのですが、
コケや地衣類の付着率?は、立木、倒木を問わず、
基本的に針葉樹よりも広葉樹の方が高いと思われます。
この写真に写っている木は、イタヤカエデです。
様々なコケや地衣類がびっしり!ですよね。
(立ち枯れ寸前、という状況です……)
この木も広葉樹です。
毎年、この同じ木から、エゾハリタケが発生するので、
夏の間は、ちょくちょく様子を見に行きます。
7月の終わりくらいから白いきのこが現れはじめ、
8月の下旬くらいに最盛期を迎え、
徐々に腐っていく、というサイクルを繰り返してます。
半円が幾重にも重なった形のエゾハリタケは、
縦も幅も30cmほどになる大型のきのこです。
半円の傘は根元部分ですべてつながっています。
傘の裏側は、その名の通り、針状になっていて、
長さ1cmほどの針がびっしり垂れ下がっています。
こんな姿のきのこですが、食べることができます。
山と溪谷社『増補改訂新版日本のきのこ』によれば、
若い状態のものを一度茹でこぼして塩蔵し、
塩抜きをして半年以上味噌に漬け込んで味わう、
と、そりゃあ手間がかかる食べ方が紹介されています。
幼菌をさっと湯がいてピクルスにするのもオススメとか。
さらに、想像を絶する食べ方があるのですが、
それは、こちらをご覧あれ……。
ちなみに、写真をよく見ると、
下から上へ、木の中央部から左に向かって、
「ツル」が巻き付いているの、気づきました?
これは、ツルアジサイなんです。
6月から9月くらいにかけて、木のはるか上の方で、
白いまさにアジサイの花を見ることができます。
それにしても、この木、
いつまで眺めていても飽きません。
隠花植物に幸あれ。