このカバイロツルタケの写真を見て、
毒がある!と思った人は、クイズ的には不正解ですが、
なかなかするどい!と、申し上げておきましょう。
傘と柄を持つ、きのこらしい形をしていて、
胞子をつくるヒダを守る内皮膜の名残り「ツバ」と、
幼菌を守る外皮膜の名残りである「ツボ」を、
両方持っているきのこは、
ほぼテングタケの仲間であると言っていいでしょう。
そして、ご存知、テングタケの仲間は、
毒きのこ、しかも猛毒きのこが多いグループとして、
きのこファンにはよく知られています。
つまり、カバイロツルタケは、
ぱっと見た感じでは、毒きのこの可能性が高い、
そんな容貌をしているわけです。
もちろん、例外もあります。
タマゴタケは、テングタケの仲間で、
しかも、傘が赤、柄が黄色と、派手派手で、
いかにも毒きのこっぽく見えますが、
優秀な食用きのこですね。
この、テングタケの仲間には、
ツバを持たない種類もけっこうあって、
それらは、ツルタケ類と言われています。
これらの一群は、ツルタケ、の名のとおり、
すらっと伸びた柄がとても印象的。
北海道道東地方でタンチョウを見慣れているので、
なかなか印象深い名前に思えます。
さて、
カバイロツルタケは、夏から秋にかけて、
針葉樹、広葉樹、各樹種の地面から発生します。
テングタケの仲間は、ほぼすべてが菌根菌。
森の木々とお互いに栄養のやりとりして、
共生しているんですよね。
傘は樺色(茶褐色)〜褐色で、真ん中が暗褐色、
周縁部には放射状の条線があります。
傘の直径は5〜7cmほど。
全体の高さに対して小ぶりなので、
ツルのように見えるのではないかと。
ツルタケにも傘がやや褐色っぽい個体があるのですが、
柄を見れば一目瞭然で、ツルタケは白っぽく、
カバイロツルタケは、樺色(褐色系)です。
食。
そう、テングタケの仲間ですが、
食べることができます。
しかし、生食は禁物。
胃腸系の中毒症状が出ることもあるとか。
そもそも、それほどおいしいきのこではないようです。
実は、けっこうたくさんきのこを見て、
慣れてくると、種を安易に同定しがちなんですよね。
とくに、食用になるきのこは十分にお気をつけを。
初心忘るべからず、です。