きのこはおいしいと誰もが知っています。
秋の味覚の王様・マツタケの官能的ともいえる味や香り。
ホンシメジやポルチーニ茸の暴力的なまでのおいしさ。
人工栽培が盛んに行われている、
シイタケやエノキタケの安定したおいしさ。
そう、多くの人が、きのこのことを、
食べものだと認識しているんですよね。
ぼくは、各地で写真展を行ったときは、
感想などを書いてもらうノートなどを置くのですが、
食べられるか食べられないか写真に添えてほしかった、
という意見を必ずいただきます。
まあ、そう書く気持ちもわからなくもないですけどね。
きのこを、食べものとしてではなく、
ひとつの生物としての魅力を感じて欲しいんです、はい。
いやあ、まだまだ修行が足りません。
多くの人に、生物的なきのこの魅力を伝授する道は、
まだまだ険しく、遥か遠くまで続いているようです……。
と、言いつつ、
今回ご紹介するのはアカジコウ。
第一級の食菌です(笑)。
傘の裏側がスポンジのような網状、
つまり管孔になっている、イグチの仲間では、
ポルチーニ茸ことヤマドリタケが、
圧倒的なおいしさを誇りますが、
このアカジコウは、負けず劣らず、お味がよろしい。
肉質がしまっていて、コクのある旨味があります。
アカジコウは、夏から秋にかけて、
北海道では、トドマツと広葉樹の混交林から発生します。
傘の直径は8〜11cmほどで、
表面は平滑で鮮やかなバラ紅色です。
肉は淡い黄色で、管孔ともに傷つくと青く変色します。
柄は淡黄色〜帯赤色で、
太さは2cmくらい、高さは10cmほどに。
下部に向かって太くなり、細かい網目があります。
成熟して色が濃くなっていくと、
似ているきのこがいくつかあるので、
同定はくれぐれも慎重に。
「食べちゃいたいくらいかわいい」きのこの写真を、
いつの日か、読者の皆さまにご披露したい、と存じます。