ミヤマトンビマイを漢字で書くと「深山鳶舞」。
漢字の字義からきのこの特徴を類推するなら、
深い山でトンビが舞う、というイメージですが、
実は、そういう意味ではないようです(笑)。
マイタケという誰もが知っているきのこの仲間で、
トンビの羽色に似た色を持つトンビマイタケがいて、
さらに、そのトンビマイタケにやや似て、
北方や高山で見られるのが、ミヤマトンビマイ。
正確に言うなら、ミヤマトンビマイタケ、
となるのでしょうが、なぜか、きのこを意味する、
「タケ」という言葉が省略されてしまったようです。
ミヤマトンビマイは、北方系のきのこなので、
ここ阿寒湖周辺ではけっこう目にするのですが、
関東から西にお住まいの方は、
あまり馴染みのないきのこかもしれません。
ミヤマトンビマイは、夏から秋にかけて、
トドマツの根本、あるいは、切り株から発生します。
共通の柄から、枝分かれするように、
たくさんの傘が現れたような形状が、
本家本元のマイタケに似ているのですが、
薄い傘が重なり合うマイタケとは異なり、
重量感たっぷりの肉厚の傘が幾重にも発生します。
傘は半円形〜扇形で、黄褐色〜淡紫褐色。
表面はびっしりと微毛が生えているビロード状で、
不明瞭な環紋があります。
幅は5〜15cm、厚さは0.5〜2cmほど。
傘の裏側には、経0.5〜1.5mmほどの、
網状の不規則な管孔があります。
一つひとつの傘ではなく、きのこ全体で見れば、
直径が30cmを超えることも珍しくなく、
けっこう大型のきのこです。
トドマツの根本でミヤマトンビマイを見つけると、
存在感たっぷりで、つい嬉しくなってしまいます。
食不適。
幼菌の柔らかいうちは食べられる、
という説があるのですが、味はイマイチ。
もし、食べられるということであっても、
食べる価値はなさそうです。
ちなみに、マイタケは言うまでもなく、
トンビマイタケもすごくおいしいらしく、
(ぼくは食べたことがありません)
山形県や秋田県では夏の高級きのことして、
けっこう珍重されているとか。
でも、まあ、阿寒の森で、
ミヤマトンビマイを見つけて、
手触りのいいビロードのような表面を、
まるで猫や犬のごとく、なでなでするのは、
北国のきのこファンならではの楽しみなのです、はい。
手の幸せ(笑)!