今回ご紹介するきのこは、エヌメリタケです。
へんてこな名前だなあ、と思いますよね。
ここで改めて、もう一度、
エヌメリタケの写真をじっくり見てください。
気がつきましたか?
何やら柄が透明な液体のようなもので覆われています。
エヌメリタケは、漢字で書くと「柄滑茸」。
そう、柄がぬめっているきのこってことです。
ぬめりがあるきのこと言えば、
読者の皆さんもよくご存知のナメコ。
野生のものも、お店で売っているものも、
ものすごくぬるぬるねばねばしています。
きのこの「ぬるねば」には、
どんな役割があるかというと、
ひとつは、乾燥をふせぐため。
秋〜冬に発生するきのこの場合は、
防寒対策という意味合いもあるようです。
そして、防虫対策。
あんまりアップではみたくないのですが、
「ぬるねば」をよく見ると、トビムシやらが、
びっしり入っていることが多々あります。
エヌメリタケは、初夏から盛夏にかけて、
主にアカエゾマツの落葉から発生します。
特に、雨あがりには、大発生することも。
傘は灰褐色で、直径0.6〜1.6mmほど。
まんじゅう形からやや平らな釣鐘形に開き、
出っ張ったり、凹んだりする中央部は、
やや色が濃くなっています。
傘裏のヒダは白色、間隔はやや疏です。
柄は、その名のとおり、
思いっきりぬめっています。
灰褐色で下部はやや黄褐色、中空です。
傘のぬめりはそれほどでもないので、
柄がこれほどまでにぬるぬるねばねばしているのは、
何か、特別な理由があるのかもしれませんが、
ぼくにはまったくわかりません。
食不適。
小さいきのこなので、
食べる価値はなさそうです。
ちなみに、ナメコのぬめりって、
旨味成分たっぷり! という気がしますが、
実際のところはそうでもないんですよね。
食感、のどごしは、確かに良いですけど。
きのこに限らず、生きもののメカニズムは、
本当に驚かされることばかりですよね。
謎が多いということは、逆を言えば、
謎の数だけ発見の喜びを味わえる、
ということでもあります。
研究者の日々の努力に、乾杯。