ぼくは、森の中で、きのこをじっくり見たり、
写真を撮影したりするのは大好きなのですが、
きのこを隅々まで凝視していろいろ記録し、
知らないきのこの名前を調べたりするのは、
ちょっと、というか、すごく苦手なんです、はい。
で、ふと、気がついたんです。
ぼくは、ことあるごとに、きのこを楽しむには、
1に観察、2に観察、3、4がなくて、5に観察、
という言い方をしていたのですが、
じつは、ぼくが好きだったのは「観察」ではなく、
「観賞」だったんですよね。
きのこ観賞。
いい響きでしょ!
広辞苑第五版で調べてみると、
観察は「物事の真の姿を理解しようとよく見る」
とあり、
観賞は「見て楽しむこと」
とあります。
まさに、それだ(笑)!
森には、きのこだけではなく、
多種多様の生きものが生きています。
いろいろな生物や無生物が、いろいろ関わりながら、
森という世界を形成しているわけで、
考えてみれば、きのこだけを見て、
他のものを見ないのはもったいないですよね。
これからは、きのこを中心にしつつも、
もっと森のいろいろなものを見て楽しもうと思います。
森観賞、ですね。
さて。
今回ご紹介するきのこは、モリノカレバタケ。
両側に写っている草花はジンヨウイチヤクソウです。
ちなみに、イチヤクソウは漢字で書くと「一薬草」。
全体を乾燥させて煎じて飲むと薬効があるのだとか。
しかし、ジンヨウイチヤクソウが薬草になるかは、
まったくわかりません……。
モリノカレバタケは、初夏から秋にかけて、
各種林地の地面から発生します。
正確に言うならば、その名前のとおり、
枯葉を分解するきのこなので、
各種落葉の上から発生しています。
群生して菌輪を形成することもあるようです。
傘は、直径は1〜4cmほど。
平滑で、黄土色〜クリーム色。
まんじゅう形から平らに開き、縁が反り返ることも。
ひだは密で、白〜クリーム色。
柄は傘と同色で、長さ3〜6cmほど。
細長く根本がややふくらんでいて、中空です。
図鑑の中には、食用とするものがありますが、
『日本の毒きのこ』という図鑑には、
毒成分不明ながら毒きのこだと紹介されていて、
近縁種も小型で特徴に乏しく未調査なので要注意、
とのことです。
採取せず、楽しく観賞しましょう。
イチヤクソウの仲間は、
葉っぱをホワイトリカーに漬けると、
淡黄褐色のリキュールができるのですが、
阿寒湖の周辺は多くが国立公園内なので、
基本的に採取することは禁止されています。
ご留意のほどを。