このアカチシオタケの写真を見て、
違和感を持った方、いらっしゃいますか?
むむむ、と唸った方、あるいは、
ちょいと首をかしげた方は?
素晴らしい!
今回の写真は、いつもの阿寒湖周辺ではなく、
東北地方の八甲田山の周辺で撮影したんです。
背景の緑や黄緑色の木々の葉は、主にブナです。
阿寒湖周辺など北海道の東部では、
あまりに寒いため、ブナが育つことができません。
(ブナが生育する北限は北海道南部の黒松内町)
阿寒湖周辺の森で見られる大きくて太い広葉樹は、
カツラ、ミズナラ、ダケカンバなどが代表格で、
当たり前と言えば当たり前のことなのですが、
東北地方北部のブナを中心とした森と比べると、
「森の色」が明らかに違います、はい。
写真を見ただけで森の雰囲気の違いに気づく方は、
いやあ、只者ではありませんな……。
ま、リップ・サービスはこれくらいにして(笑)。
アカチシオタケは、夏から秋にかけて、
広葉樹の腐朽木や落葉から発生します。
傘は、灰黄褐色で中央部のみ橙褐色。
直径2cm前後のものをよく見かけます。
湿っているときにはやや粘性が。
ヒダは、白く、間隔はややまばらです。
柄は、橙朱色で細長く、中空。
根本に細かい毛が生えています。
傘、ひだ、柄に共通して、
傷つくと鮮やかな橙色の液体が染み出します。
名前はアカチシオタケですが、
どちらかと言うと橙色が目立つ感じです。
食不適。
さもあらん。
小さくて可愛らしいきのこなので、
見つけたら、じっくり観賞して楽しみましょう。
ちなみに、
アカチシオタケをご紹介するのはこれで2回目です。
前回の写真を見ると、あ、やっぱり!という感じで、
背景の色がなんとなく阿寒とは違って、
今回と同じような色に見えますよね。
(撮影場所は異なります)
阿寒の森もいいけど、
東北地方のブナの森もたまりませんな。