この写真を撮影した場所は、
魅力的な森が広がる阿寒湖周辺の中でも、
ぼくがいちばん好きな場所です。
トドマツを中心にした針葉樹の森の一角で、
林床がびっしりとコケに覆われているので、
「コケコケの森」という愛称をつけ、
シーズン中は週に1〜2回は訪れています。
(ぼくの大好きなコウバイタケの発生地です)
あまりにステキな場所なのですが、
難点がいくつか……。
まずは、吸血昆虫の存在。
Gパンの上からでも普通に刺してくる、
体長が1cmを軽く超えるようなヤブカや、
目に見えないほど小さいけど、
刺されるとけっこう腫れ上がって、
痛痒さが2〜3日は続くヌカカが群れをなしています。
そして、くまさんの存在。
ここは阿寒湖周辺でも生息密度が高い場所。
腹ばいになってコウバイタケを撮影していたとき、
立ち上がったら触れるほどの近距離(約2m!)から、
若いくまさんに見下されていたことが……。
ちなみに、このときは、
音がして振り返ったらくまさんがこちらを見てて、
「あ、こら!」
と言ったら、慌てて逃げていきました。
ヒグマは大きいから、何度遭遇しても、
思いっきりビビります。
あと、この場所は、
大きな岩が重なってできている地形なので、
岩の隙間から冷気が吹き出しているんです。
いわゆる天然のクーラーですが、
これが真夏でも寒いほどの威力。
腹ばいでの撮影は、5分が限界でしょう。
常緑の針葉樹が多いし、
林床はコケに覆われているので、
初夏から晩秋までずっと同じような雰囲気ですが、
季節によって、発生するきのこが違うので、
それがまた楽しいんですよね。
コケイロヌメリガサは、秋のきのこ。
基本的には広葉樹が多い森でよく見かけますが、
コケコケの森でも常連です。
傘の直径は3〜8cmほど。
表面はオリーブ灰色〜帯褐色で、
真ん中の色が濃く、周縁部は淡色です。
著しい粘液で覆われています。
しかし、思うに、
なぜ「苔色」という名前なんでしょう?
コケを思わせる緑色の要素がないんですよね……。
まあ、それはそれとして。
ヒダは白くて間隔が広く、
柄に向かって長く垂れています。
柄は高さ5〜10cmほどで、
上部にツボの名残が不完全に残り、
それより下には黒褐色の鱗片が覆っています。
食。
ぬめっているのでおいしそうですが、
お味はまったく期待できません!
また、数がたくさん採れるわけでもないので、
きのこ狩りの対象としてオススメできません。
いずれにしても、コケコケの森には、
いろいろな「難点」があったとしても、
それを上回る魅力があるわけで、
まだまだ当分、通い続けることになりそうです。