この写真を撮影したのは、
岩手県と秋田県の県境付近に広がる、
和賀山塊の岩手県側の山麓です。
1000m級の山々が連なり、沢が豊富で、
まだまだ原生林が残っています。
最高峰の和賀岳の標高が1440mほどで、
征服欲?ピークハント欲?を満たすには、
標高も知名度も今ひとつ……。
登山者はそれほど多くはありません。
何より、
歩行距離が長くて、はあはあ、
アップダウンが多くて、ひいひい、
沢を越えたり、沢沿いを歩いたりして、ふうふう、
という感じで、そう、標高が低い割に、
どの山も基本的にルートがキツいんです!
まあ、マニア向けの山ですな。
しかし、和賀山塊と言えば、
幹周り10m以上の日本最大のブナ、
幹周り8m以上の日本最大のクリ、などなど、
巨樹があることで、自然が好きな人には、
そこそこ知られているのではないかと。
あと、和賀山塊は、
高山帯を好むものから低山帯を好むもの、
温暖な気候を好むものから寒冷を好むもの、
いろいろな植物を見ることができます。
希少植物もけっこうあるとか。
当然、きのこも多種多様!
と、言いたいところですが、
きのこの分布は、普通かな(笑)。
写真を撮影した場所は、ブナに混じって、
コナラやクリなど里山でもよく見かける木が多く、
秋田杉もちらほらと混じっています。
道なき道を進み、
大きな根株を見つけたので、近寄って、
反対側をのぞきこんだら、ビンゴ!
クリタケの群落発見。
クリタケは、秋から晩秋にかけて、
各種広葉樹の切り株、倒木、埋木から発生します。
傘の直径は3〜10cmほどで、
表面は明るい茶褐色〜暗い煉瓦色、
周縁部は淡くて最初は白い繊維状の膜が付くことも。
ヒダは密で黄白色、のちに暗褐色に。
要は胞子が熟すと変色するんです。
柄は細長く、上部は白〜黄色で下部は錆褐色。
ツバはありません。
食。
香りや歯ごたえがよくて出汁も出る、
優秀な食菌として古くから知られています。
(ぼくも採取して撮影後に鍋にして食べました!)
が、海外では、有毒扱いされることもあるので、
要注意のきのこでもあります。
クリタケを採取して、しばらくすると、
この辺りは一面真っ白の冬景色に。
長く厳しい季節を迎えます。