きのことの出会いは一期一会です。
その瞬間、その場所で、きのこと出会うことは、
偶然、というより、奇跡ですよね。
だからこそ、きのこと出会ったら、
その瞬間、その場所で、いちばんステキな状態で、
きのこを見たいと思うわけです。
きのこを同定することだけが目的であれば、
引っこ抜いて、手に持って、顔に近づけて、
上から下から眺め回せばいいでしょうが、
それじゃあ勿体ないですよね。
阿寒の森という舞台があって、そこに、
きのこというモデルさんがいるわけです。
両方とも楽しみたいじゃありませんか。
ぼくの楽しみ方をひとつお教えしますと、
まず、腹ばいになります。
森で、迷わず、腹ばいになります。
そう、きのこの「目線」になるわけです。
視線を低く保ったまま、
きのこが一番かわいく見える角度を探しつつ、
木や草花や川の位置など背景との兼ね合いを図りつつ、
じりじり、じりじり、と動きます。
そうやって、時間をかけて、
きのこを鑑賞していくと、これぞ!という、
絶妙のポジションが見つかります。
そして、それはそのまま、
写真を撮影するポジションでもあるわけです、はい。
さて。
今回ご紹介する
ナガエノチャワンタケも、
上記のような感じで撮影しています。
ナガエノチャワンタケは、夏から秋にかけて、
トドマツや広葉樹の森の地面から発生します。
頭部は、直径1〜3cmほど。
はじめは椀状で、やがて皿状に開きます。
椀の両端が下に湾曲すると同時に縁が反り上がり、
鞍形になることもしばしばあるようです。
内面(胞子をつくる部分)は暗褐色〜灰褐色、
外面は淡褐色で短毛が密生しています。
柄は円柱状で、高さ5cmほど。
頭部の外面と同じく淡褐色で短毛が密生しています。
食毒不明とのこと。
見つけた場合は、鑑賞にいそしみましょう。
きのこの姿、そして、生えている環境、
両方をじっくりじっくり見ていると、
時間がいくらあっても足りません。
ああ、しあわせ……。