原宿駅の近くにある太田記念美術館は、
知る人ぞ知る、浮世絵専門の美術館です。
太田記念美術館の展示の何が良いって、
館内に入って最初の展示場所に畳が敷いてあるんです。
浮世絵が始まった江戸時代を考えるに、
多くの人々は畳の上で生活していたわけで、
もちろん、浮世絵鑑賞も、畳の上……。
なんと理想的な浮世絵鑑賞環境!
さすが、浮世絵専門美術館。
で、畳に座って、いろいろな角度から、
舐めるように作品を鑑賞していると、
(もちろん眼の前にはガラスがありますが)
浮世絵に「仕掛け」があることに気づきます。
絵に無色の凹凸がつけてあったり、
ある角度で見ると背景がキラキラ光ったり……。
キラキラの正体は、きらら=雲母(うんも)の粉。
喜多川歌麿や東洲斎写楽の作品でお馴染みですな。
コキララタケの「きらら」も、
雲母の「きらら」からの命名です。
本家・キララタケは、
傘の表面に付いた皮膜の名残が、
雲母の形状にそっくりなんです。
しかも、キラキラしてたりします。
こちら、コキララタケは、
どちらかと言うと、雲母というよりは、
やや綿くず状だったりするわけですが。
(図鑑にはフケ状だとの表記も……)
コキララタケは、初夏から秋にかけて、
広葉樹の腐朽木などから発生します。
傘の直径は2〜3cmほど。
卵形から釣り鐘形に開きます。
表面は黄褐色で、落ちやすい綿くず状の鱗片があり、
周縁部には放射状の条線があります。
傘裏のヒダは密、白色、後に、紫褐色。
柄は高さ2〜5cmほどで、白色。
基部やその周辺には、往々にして、
黄褐色で粗毛状の菌糸マットが見られます。
ヒトヨタケの仲間なので、
一夜でどろどろに溶けるかと思いきや、
溶けた姿はあまり見たことがありません。
食不適。
可食、とする図鑑もあるようですが、
味はほとんどないようです。
ちなみに、ぼくは、
太田記念美術館が大好きなので、
展覧会開催期間に上京する予定があれば、
必ず、と言っていいほど、訪れています。
ほぼ日さんには歩いて行ける距離ですし。
雲母を使う、雲母摺り(きらずり)を見て、
きのこを思い浮かべるのも乙です(笑)。