ぼくは、きのこや粘菌やコケなど、
隠花植物(生物学的には死語!)が大好きで、
初夏から晩秋まで、ほぼ毎日、
阿寒の森に入って写真を撮っています。
きのこをかわいく撮るコツは何ですか?
などと、たまに聞かれることがあるのですが、
きのこはかわいいから誰が撮ってもかわいいですよ!
と、言いたいのをぐっとこらえて(笑)、
きのこに顔を近づけて、できれば360度ぐるりと回り、
さらにかわいく見える角度を探しましょう!
とアドバイスしています。
きのこを見る場合、まず、傘に着目しますよね。
今回ご紹介するシュイロハツの場合も、
いわゆる典型的なきのこの形をしていて、
あまり個性的とは言えませんが、
色がとても印象的ですよね。
名前も傘が朱色だから、シュイロハツです。
しかし、ぼくが着目したのは、
鮮やかで美しい色の傘ではありません。
実は、柄なんです!柄!!
改めて写真を見てくださいな。
数学者であれば未知の数式に思いを馳せ、
文学者であれば愛を語らずにはいられない、
しなやかで美しい素晴らしい曲線だと思いませんか?
ミケランジェロが、ダ・ヴィンチが、
ピカソが、ゴッホが、北斎が、嗣治が、
もしも、このシェイプを目にしたら、
創作意欲がもりもりかきたてられたことでしょう!
神秘的と言っても過言ではありません。
失礼いたしました(笑)。
きのこ愛が暴走してしまいました……。
シュイロハツは、夏から秋にかけて、
ミズナラなど広葉樹の樹下に発生します。
傘は朱赤色〜橙赤色で、湿時やや粘性があり、
直径は、だいたい4〜7cmくらいです。
まんじゅう形から平らに開き、中央部がやや凹みます。
ヒダは密で、最初白く、
後に、クリーム色〜黄土色。
柄は白く、高さは4〜6cmくらいです。
食不適。
かじってみるとやや辛味があるそうで、
食用にはまったく向いてないようですね。
何を隠そう、今回の写真は、
柄の素晴らしいシェイプを楽しめる角度を見つけて、
嬉しくて、やや舞い上がってしまって、
きのこに付いている落葉を除くのを忘れていました。
きのこについた「ゴミ」を丁寧にどかすだけで、
写真は5割くらい上手に見えるんです。
これ、きのこ撮影の超重要ポイントです、はい。