春という季節の到来は、
何というか、ホッとします。
ぎゅうぎゅうと体を痛めつけるような、
冬の寒風や冷気にも身をすくめて耐えに耐えていると、
ある日、あるとき、外気に触れた瞬間、
春の香りが混じっていることに気づきます。
こうなったら、しめたもの。
いくら寒さがぶり返そうが、雪が降ろうが、
もう春になってしまったのだから、
耐えることもやぶさかではありません。
いつの間にか、小鳥たちの声が増え、
目にする美しい花々の種類も増え、
気分もうきうきするようです。
ウグイスは、別名、春告鳥と呼ばれています。
春告花(草)は、ウメのこと。
ウグイスも、ウメも、ともに春の季語ですね。
じゃあ、きのこファンとしては、
春告菌なんてことを考えたりします(笑)。
きのこは1年中発生していますから、
もちろん春に発生するきのこもたくさんあります。
ぼくは、3月中旬〜下旬頃に野外へ出かけて、
ツバキキンカクチャワンタケや、
シロキツネノサカズキモドキなどを見つけると、
小躍りして喜んで、春の到来を実感するのですが、
一般的なきのこファンの方々が、
春に発生するきのことして思い浮かべるのは、
おそらく、アミガサタケの仲間でしょう。
アミガサタケの仲間はけっこう多く、
黄色いタイプと黒いタイプに大きく分けられますが、
網様に多数の穴があいた、たまご形の頭部を持つこと、
そして、春に発生することが共通しています。
今回ご紹介するチャアミガサタケは、
群馬県のとある神社の境内で見つけました。
サクラやイチョウの周りの地面をチェック!
と知人に助言をもらったので、
春に各地の神社仏閣や公園を探していたところ、
見つけることができました。
チャアミガサタケは、
いわゆる普通のアミガサタケによく似ていますが、
頭部が比較的丸くなっていることが特徴のひとつ。
網目の中は、褐色〜暗褐色です。
柄は円筒形で基部が太く、白〜黄帯色、
中空で表面がざらざらしています。
食。
アミガサタケの仲間は、
同じ様に見えて別種、ということが多々あり、
同定には注意が必要です。
また、生で食べると中毒を起こします。
アミガサタケは、
英語でモレル(morel)、
フランス語でモリーユ(morille)と言われ、
高級な食材として知られています。
ちなみに、ぼくは、
自分で採取したアミガサタケを、
まだ食べたことがありません。
理由は特にありません(笑)。