ご用心!食べられないんです!
ヒメカバイロタケ食不適

植物以外の生物は、基本的に、
生きていくための栄養を外部から調達します。
我らがきのこも、植物より動物に近い生物なので、
同様です、はい。

まあ、簡単に言うなら、
その生物が何を食べて生きているかということで、
肉食動物なら他の動物でしょうし、
草食動物ならば何らかの植物ということになるかと。

また、ニンゲンなど、
雑食の生物も少なからず生息していて、
主に何を食べて生きているのかはっきりしない場合も、
まあ、ありますな。

普段は納豆とモヤシばかり食べていて、
他に必要な栄養はサプリメントで補給している、
という知人がいるのですが、
つまり、主食は、サプリメント?

我らがきのこも、雑食と言っていいでしょう。
植物(生きた木も死んだ木も)はもちろん、
動物から、菌類から、いろいろ「食べ」ます。
(樹木と栄養を相互交換して生きているきのこも!)
同じ種のきのこが、生きた木、死んだ木、
両方から発生することも珍しくありません。
寄生菌であり、腐生菌でもある、ということでしょう。

きのこの本体である菌糸にはもちろん口がないので、
体の表面から酵素を分泌して「食料」を分解・消化し、
体内に取り込んでいます。

お目当てのきのこを探すには、
何から発生するか、つまり、何が好物かを調べて、
それを重点的に探せば出会える確率が増えます。

今回ご紹介するヒメカバイロタケは、
死んだ木、しかも、けっこう分解が進んだ、
古い針葉樹が大好物なんです。

夏から秋にかけて発生。
傘は直径0.8〜2cmほど、表面は橙黄色、平滑で、
湿っているときには、くっきりした条線が。
釣鐘形〜饅頭形で、のちに中央部にくぼみができます。

ヒダは傘よりもやや黄色を帯び、間隔はまばらです。

柄は高さ1〜3cmほどで中空。
上部が帯黄色、下部は褐色です。

多くの場合、群生するので、
その気になればたくさん採ることも可能ですが、
食不適、です。
小さくてかわいらしいきのこなので、
じっくり鑑賞して楽しみましょう。

実は、光合成をせずに、
外部からの栄養摂取のみで生きている植物もいます。
有名なのは、ギンリョウソウ。
葉緑素を持たないために真っ白で、
別名幽霊草などと呼ばれることもあります。

では、何から栄養を得ているかというと、
なんと、きのこ!なんです。

ギンリョウソウは菌従属栄養植物と呼ばれ、
ベニタケ系のきのこ(菌糸)と地中でつながり、
生きていくためのすべての栄養を得ています。

きのこがえらいのか、はたまた、
ギンリョウソウがちゃっかりしているのか……(笑)。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。