ぼくは、阿寒湖周辺の森で、
大好きな場所が数か所あるので、
基本的にはローテーションでそこを周り、
きのこや粘菌やコケなどなど、
いわゆる隠花植物の写真を撮影しています。
きのこを始め、樹木も、コケも、
普通は動いてないと思われがちですが、
もちろん、そんなことはなく、
動画で撮影して早回しで見てみると、
ダイナミックに動いているのがわかります。
別に強風が吹いているわけでもないのに。
そして、同じように見えても、
森は毎日姿を変えています。
定期的に様子をチェックしているマイ倒木!も、
2日くらい間をあけて訪ねてみると、
違うきのこが生えていたり、粘菌がいたりと、
確実に違う姿をみせてくれます。
とくに変化が大きいのが雨上がり。
しばらく乾燥が続いたあとの雨降りは、
まさに命の水と呼びたくなるほど、
いろいろな生きものが、
本当に生き生きとして見えます。
この雨降りに敏感なきのこが、オオキツネタケです。
なぜキツネの名がついているかというと、
人を化かすから……。
化かすとは何か?
そう、姿を変えるんです。
オオキツネタケは夏から秋にかけて、
林内の地面や路傍などから発生します。
そっくりさんのキツネタケより大きいから、
オオキツネタケ、というです。
傘の直径は4〜7cmほど。
表面は黄褐色を帯びた肉色で、
よく見ると小さな鱗片に覆われ、
周縁部には条線が見られます。
きのこの傘の色は、
時間とともに変化することも少なくありませんが、
オオキツネタケは、水分量でも変化するんです。
湿時は肉色で、乾燥すると黄褐色系に変わります。
そして、開いたり、のけぞったりと、
形すら、水分量で変わるんです。
傘裏のヒダは、疏く、帯肉色。
柄は傘と同色、縦に繊維状の条紋があり、
根本には紫色の菌糸が見えることがしばしばです。
食。
食べられることは食べられるようですが、
あまりおいしくはないようです。
それよりも、
オオキツネタケはアンモニア菌と言って、
つまり、動物がおしっこをした跡によく生えるんです。
そう思うと、なんとなく、食べるには、
ちょっとだけ気持ち悪いですよね……(笑)。
きのこ鑑賞を嗜むようになってからというもの、
それほど劇的ではない環境の変化に敏感になるし、
さらには、そのくらいのことで、
けっこう嬉しくなっちゃうんですよね。
悪くないでしょ!