いつかは見たい、見つけたい、
と思っているきのこがいくつかあるのですが、
カンゾウタケはまさにそのひとつ。
本や図鑑でその容姿を見てからというもの、
ずっと憧れにも近い感情を持ち続けていました。
だって、色が、ショッキングピンクですよ!
そんなきのこはそう多くないはずです。
東京の御茶ノ水で仕事の打ち合わせをして、
終了後に昼食を食べ、時間を確認すると、
次の打ち合わせまで余裕があったので、
久々に小石川後楽園に行ったわけです。
池の周りをぶらぶらと歩いていると、
「きのこ眼」が、ビビビと反応。
改めて右下の「違和感」に視線を合わせると、
樹木の幹や、地面の草花や、落葉とは、
明らかに異なる系統の派手な色。
それがショッキングピンクであると認識する刹那、
「あ!」と大きな声で叫んでいました。
すかさずしゃがんで前かがみに眼を近づけると、
大当たり!カンゾウタケでした。
まさかこんな東京のど真ん中で、
憧れのきのこと出会えるなんて!
カンゾウタケは5月〜6月頃、あるいは10月頃に、
シイなどの大木の根際に発生します。
傘は肝臓〜牛の舌のような形で、赤紅色〜暗赤褐色。
表面は、つぶつぶのざらざらです。
長径は10〜20cmほど。
裏側は管孔になっていて、最初は黄白色です。
切って見ると、赤い汁がにじみ出るわ、
紅白の縞模様になっているわで、まるで、獣肉。
アメリカでは「貧者のビーフステーキ」、
などと呼ばれているそうです。
食。
きのことしては例外的に生でも食べられるので、
薄く切ってサラダの材料にしたりするのですが、
とにかく、すごく酸っぱいんです。
加熱しても酸っぱい。
このきのこをおいしいと言う人も、
たまにいたりするのですが、
ぼくはもう食べなくていいかなと思ってます(笑)。
これほど色っぽいきのこですから、見つけたら、
モデルさんとして、ばしばし写真を撮りたいです!
それにしても東京の公園や庭園は、
都会にぽっと現れたオアシスのような空間で、
大都会にいることを忘れさせてくれますよね。
ぼくは、小石川後楽園の他にも、
代々木公園や新宿御苑が大好きなのですが、
きのこが生えていそうな倒木があるような場所は、
けっこう立ち入り禁止になっているので、
訪れる度にちょっとやきもきしています。