眼の前には針葉樹と広葉樹が入り混じった、
鬱蒼とした原生林が見渡す限り広がり、
そこかしこに、きのこや粘菌の姿が。
聞こえてくるのは、鳥や虫の声と風のざわめき。
突然「がさっ」という木々が擦れる音を聞いて、
びっくりして振り返るとエゾジカと目が合ったりも。
(たまにヒグマとも遭遇してしまいますが……)
阿寒の自然は本当に素晴らしい!
と、思うんですけど、時々、
「自然」って何なんだろう?
と、思うんですよね。
地球に生まれた生物の一種だと考えれば、
人間だって自然の一部のはず。
でも、人間は、地球で生まれた他の生物とは違って、
明らかに地球=自然を大きく改変し続けているから、
やっぱり自然と一緒にするのは無理があるかも……。
と、地中に広がる菌糸のように、頭の中が、
複雑化して答えが出なくなってしまうわけです。
まあ、ただ単に、ぼくが、
自然科学的に無知なだけなんですけど。
でもまあ、実際に、あと何百回、何千回と、
阿寒のフィールドに出かけて愚考するうちに、
自然とは何か、人間と自然の関係は、という問いに、
自分なりの答えが出るような気がするんですよね。
使いまくっている「自然」という言葉の定義すら、
きちんと認識してない自分にびっくり、ですが(笑)。
まあ、それはそうと、
秋の森をまったく何も考えずに歩いていたら、
木々の緑を反映したような鮮やかなきのこを発見。
クサイロハツです。
クサイロハツは、夏から秋にかけて、
トドマツや各種広葉樹の森の地面から発生します。
傘の直径は、3〜9cmほど。
まんじゅう形から平らに開き、中央部がくぼみます。
表面は草色〜灰緑色で、湿時には粘性が。
ヒダは密で、白のち淡黄色。
柄は中空で中央部が膨らみ、真っ白け。
高さは8〜12cmほどです。
食。
食べられることは食べられるようですが、
それほどの旨味があるわけでもなく、香りもなく、
ボソボソしていてあまりおいしくはないようです。
この地球では、生物、無生物にかかわらず、
いろいろなものが関わり合って、
(もちろん、きのこと人の関係も!)
自然というものをつくっているわけですよ。
せっかくつないでいる手を、人間の都合だけで、
分断させないように心がけたいものです。