ぼくがいつも撮影している阿寒湖の周囲は、
幼少の頃からずっとイメージしてきたような、
まさに「森」が広がっています。
人工物がほとんどない、木、木、木、ばかりの森。
美しく、畏れ多く、楽しく、怖い、そんな場所です。
森、と言うと、大自然とか、癒やされるとか、
いいイメージを思い浮かべる人が多いと思いますが、
実際に毎日通ってみるといいことばかりではありません。
阿寒の森での撮影は毎日が戦いです。
何と戦っているのか?
吸血昆虫、そして、暑さです。
阿寒の森の最強の生物は間違いなくヒグマ。
日本最強の哺乳類と言っても過言ではありません。
ヒグマに戦いを挑んでも100%勝ち目はないので、
鈴を鳴らすなど、遭遇しないように努力します。
(クマ撃退スプレーも常備)
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、菌類には、
顕著な「敵」は存在しません。
戦いを挑んでいるのは主に吸血昆虫です。
アブ、ヤブカ、ヌカカ、ブユなどなど。
吸血昆虫との戦いには、暑さも参戦します。
そう、最大の防御は肌を露出しないこと。
真夏で、気温が30度近くまで上昇しようが、
上下ともレインウエアを着て、長靴をはき、手袋をして、
あたまからすっぽりと防虫ネットをかぶります。
昨今ではディートやイカリジンという成分が、
防虫に劇的な効果があるとされ、
高濃度で配合された防虫剤が市販されていますが、
皮膚や衣服に対して刺激が強すぎたり、
蚊などには効果があってもハエには効かなかったりと、
いろいろテストはしてみたのですが、
常用するには至ってません。
さて。
このアカモミタケの写真を撮影したのは、
真夏も真夏、8月中旬のそりゃあ暑い日でした。
(この写真を見るだけでも汗が吹き出します!)
アカモミタケは、夏から秋にかけて、
トドマツの樹下の地面から発生します。
傘の直径は5〜15cmほど。
最初はまんじゅう形でやがて平らに開きます。
表面は淡煉瓦色〜鮮赤褐色、不明瞭な環紋があり、
湿っているときには粘性があります。
傘裏のヒダは柄に長く伸びており、幅が狭くて密。
傘よりも濃い色をしています。
橙色〜朱色でやや量が多い乳液が見られます。
柄は長さ3〜10cmほどで、傘とほぼ同色。
中空で、クレーター状のくぼみがあります。
食。
久しぶりに、
山と溪谷社『増補改訂新版 日本のきのこ』
の表現を借りるなら、
「肉質はかたくてもろいが、ゆでると多少弾力が出る。
こくのあるうま味があり、和風、洋風ともに、
じっくりと煮込む料理に合う」
とのことです、はい。
結局、森での撮影は、
大汗をかくことを覚悟して「完全防備」で臨み、
車にもどってから着替え、さらに阿寒湖の温泉に入る、
というパターンで落ち着いています。
大汗をかいたあとの温泉!
たまりません。
重要なことなのでもう一度言います。
阿寒湖の温泉は、たまりません。