きのこを観察・鑑賞していると、
例えば、まったく同じ種類のきのこを見ても、
ビビビ、と心に感じるきのこと、
そうではないきのこがあったりします。
したがって、
複数本発生しているきのこの写真を撮るときには、
必ず主人公たる1本のきのこを決めて、
彼女(彼)を中心にした構図を考えます。
独断と偏見で「センター」を選定。
もちろん、投票ではなく(笑)。
華道でお花をいけるときには表と裏があります。
そして、盆栽にも「正面」があります。
自然に生えているきのこにも、
要は、360度ぐるりと見渡すと、そのきのこが、
もっとも美しく見える角度が必ずあるものです。
複数のきのこの中から「センター」を選び出し、
そのセンターのいちばんいい角度を探し出し、
さらに背景との塩梅を考慮する……。
読者の皆さまも、ぜひ、きのこを見つけたら、
きのこの「正面」を探しつつ鑑賞してみてください。
今回ご紹介するのはカノツノタケです。
きのこらしからぬ形をしておりますが、
これも立派なきのこです、はい。
カノツノタケは、主に夏、
カエデ類など広葉樹の倒木から発生します。
きのこは円柱状、ひも状で、黒色。
2〜4股に分岐することもあれば、
そのまますっと1本立っているものもあります。
高さは3〜9cmくらい、経は1〜5mmくらい。
カノツノタケという名前の通りに、
上部がまるでシカの角のように、
2叉に分かれることが多いようです。
やがて、
分生胞子(外生的につくられる無性胞子)が形成され、
上部は白く粉状になります。
食不適。
チョークのように触るとポキンと折れてしまうので、
食用とするには無理があるかと……。
ちなみに、カノツノタケは、
別名クロサイワイタケとも呼ばれています。
どちらの名前が正しいのかは、よくわかりません。
あしからず。
さて、さて。
読者の皆さまは、この写真に写っている、
3本のカノツノタケのうち、
どれをセンターに選びますか?