竹は成長が早い植物として知られています。
1日におよそ1.2mも伸びた例があるとか。
タケはタケでも、きのこの方のタケには、
もっとツワモノがいるんです。
よく知られているのは、きのこの女王と呼ばれている、
レースのドレスをまとったような姿のキヌガサタケ。
今回ご紹介するマクキヌガサタケに似ていますが、
キヌガサタケは、頭部の下方から地面に届くくらいまで、
網状のドレスを優雅に大きく広げるんです。
竹林で発生するキヌガサタケは、
最初、弾力のある鶏卵のような姿を地上に表し、
そのゼリー状の「殻」を突き破って子実体が伸長。
最初に柄がぐいぐいって伸び、そのあと、
レースのような網が下へ下へと伸びていきます。
柄の伸長速度は分速1〜4mmほど、
レースのような菌網の伸長速度は分速1〜3mmほど、
と言われています。
つまり、キヌガサタケの伸長速度は、
タケノコ、あるいは、竹よりも早いんです!
すごいでしょ、きのこ。
さて。
前述したとおり、
キヌガサタケとマクキヌガサタケはそっくりなんです。
いちばん大きな違いは、
菌網、レースのドレスの長さ。
キヌガサタケが地面まで届くくらい長いのに対し、
マクキヌガサタケはその半分〜3分の1くらいです。
発生場所も、キヌガサタケはほぼ竹林に限られますが、
マクキヌガサタケは林地や庭園や芝生などから発生します。
マクキヌガサタケ発生時期は夏から秋にかけて。
最初に現れる「卵」の大きさは直径4cm前後で、
そこから現れるきのこは高さ10〜20cmほどです。
頭部(傘)は鐘形で、長さは2.5〜4cmほど。
不規則な網目状の隆起の上にグレバと呼ばれる、
暗緑色で悪臭がする粘液で覆われています。
グレバには胞子が混じっていて、
悪臭で呼び寄せた昆虫に胞子を付着させて飛散させる、
という、やや変わった胞子散布戦略を実行しています。
柄は円筒形で、白く表面には円形の凹みがあり、
太さは直径2〜3cmほど。
菌網は頭部(傘)と柄の境目くらいから伸び、
柄の半分くらいまで伸びていきます。
色もキヌガサタケと比べるとやや濁った白です。
食。
食べるのは柄の部分。
キヌガサタケも同様なのですが、
とにかくグレバの悪臭が半端ではないので、
いかに柄にグレバを付着させないかが重要です。
洗っても洗っても匂いが落ちないんですよ、これが。
スープによく合います。
北海道では竹が生えてないので、
残念ながら本家キヌガサタケは見ることができません。
きのこの女王の姿を拝めないのは残念でなりません。
ちなみに、この写真は、山形県で撮影しました。