たまに上京して電車に乗るとき、
手にするのは、スマホなんぞではなく、
文庫本か、はたまた新書か、とにかく、
紙の本なしにはいられません。
書籍から得られる情報は、
SNSやウィキペディアや各種情報サイトなど、
インターネットで得られる情報よりは、
数倍、あるいは、数十倍くらい、
精度が高いと言えるのではないかと。
本好きとしては、そう信じているし、
ぜひそうあってほしい、という、
願望の現れでもあるのですが、
残念ながら、例外もあります……。
今回、ご紹介するのは、アンズタケ。
食べられるか食べられないかのクイズの答えを、
「毒」としたために、不正解になった方が、
たくさんいるのではないかと思います。
そう、アンズタケ、と言えば、
フランス料理の高級食材「ジロール」のこと。
欧米の食通がうなる美味きのこを、
毒きのこ扱いするなんて……。
『日本の毒きのこ』(学習研究社)では、
毒きのことして扱われているんです。
我が敬愛する隠花植物写真の大家(現・糞土師)、
伊沢正名氏とそのご家族も、
アンズタケを食べて中毒をおこしたとか。
可食として扱っている図鑑もありますが、
国内で採取されたアンズタケからは、
アマトキシン類やノルカペラチン酸など、
微量ながら実際に毒成分が検出されており、
食べない方がいいでしょう!
アンズタケは、夏から秋にかけて、
各種森林の地面から発生します。
傘は鮮やかな橙黄色で中央がくぼんでロート形。
縁は浅く裂けて波打っています。
ひだは、放射状、かつ、しわ状で、
柄の下部に向かって長く伸びています。
柄は高さ3〜9cmほど。
傘と同色で、同幅、中実。
その名のとおり、
アンズのような芳香がするのが特徴です。
星の数ほどある玉石混淆の情報の中から、
自分に必要な正しい情報を得るためには、
ある程度の知識と経験が必要なんだなあ、と、
最近、特にそう思うことが多くなりました。
本の重要性を改めて感じます。
きのこは、個体差、地域差がとても大きいうえに、
日進月歩で研究が進み、情報が更新されています。
食べられる、食べられないの判断は、
くれぐれも慎重に。