おしい!食べられるんです!
ハナイグチ食

北海道の地名は、一種独特というか、
そこに住んでいなければ絶対に読めないものが、
けっこうたくさんありますよね。

それもそのはず、地名のもとになっているのは、
先住民族であるアイヌの言葉。
北海道の市町村名の約8割がアイヌ語由来です。

アイヌ語は文字を持たないので、
アイヌ語の発音に漢字をあてはめて、
今の地名がつくられたわけですが、
それが、まあ、トンチというか、適当というか、
何というか……。

釧路市からお隣の厚岸町へと続く道道143号は、
知る人ぞ知る「難読地名ロード」です。

来止臥

浦雲泊

初無敵

入境学

賤夫向

分遺瀬

老者舞

知方学

仙鳳趾

これ、全部、地名です!
読者の皆さんは、いくつ読めるでしょうか?

一方、入植者の故郷が地名になっている場合も。
釧路市には鳥取という地名がありますが、
明治時代に鳥取県から多くの移住者があり、
釧路村を分割して鳥取村をつくったのだとか。
(後に釧路市に編入されました)

考えてみれば、先住のアイヌ民族以外は、
3〜4世代遡れば、入植前の出身地があるわけです。

実は、北海道で発生するきのこにも、
北海道外に故郷を持っている種類がいます。
それが、今回ご紹介するハナイグチです。

ハナイグチは夏から秋にかけて、
カラマツの林の地上から発生します。
カラマツの菌根菌なので、
それ以外の樹種からは発生しません。

北海道のカラマツは明治時代に、
すべて長野県から移植されたので、
ハナイグチの故郷も長野県なのです!

傘の表面は、ゼラチン質の粘液におおわれ、
黄褐色〜橙褐色〜レモン色など色も多様。
直径は4〜15cmほどです。

傘の裏側は細かく小さな穴がたくさん空いた管孔で、
最初は鮮黄色でのちに帯黄褐色に変化します。

柄は黄色〜黄褐色で上部に同色のツバがあり、
高さは4〜12cmほどです。

味もよく収穫量も期待できる優秀な食菌で、
北海道では「ラクヨウ」などとも呼ばれています。

現在、北海道で多く見られる人工林は、
トドマツ、次いで、カラマツの順なので、
カラマツも、そしてハナイグチも、
普通に北海道産だと思っているのではないかと。

まあ、東京に住んでいる人だって、
半分くらいは地方の出身者ですからねえ。

最後に、前述した難読地名の読み方を……。

来止臥(キトウシ)

浦雲泊(ポントマリ)

初無敵(ソンテキ)

入境学(ニコマナイ)

賤夫向(セキネップ)

分遺瀬(ワカチャラセ)

老者舞(オシャマップ)

知方学(チッポマナイ)

仙鳳趾(センポウシ)

ほとんど、トンチですな(笑)。

アイヌ語地名は、それぞれ、
その土地ならではの特徴が表されています。
興味がある方はぜひ調べてみてください。

ちなみに「キトウシ」は、
ギョウジャニンニクがたくさん生えている場所、
という意味があります。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。