日本百名山に選定されている雌阿寒岳は、
山頂付近の数か所から常に白い噴煙が立ち上っている、
北海道、いや、日本でも有数の活火山です。
その山麓から3合目くらいにかけて、
アカエゾマツの森が広大に形成されています。
火山ゆえ、栄養が乏しく、硫黄の影響などもあり、
他の樹木がなかなか育ちにくい環境なので、
「逆境」に強いアカエゾマツが繁栄しているんです。
「きのこの話。」でも何回も書いておりますが、
この森が、本当に、本当に、素晴らしい。
子どもの頃、絵本で読んだ「森」の世界が、
そのまま具現化されたかのような、
そりゃあ、怖いくらいに、ステキな森です。
そんな、筆舌に尽くしがたい森に、
たくさんのきのこが生えているわけですから、
もう、たまりません!
森の地面から発生するきのこは、
その多くが、樹木と共生している菌根菌です。
樹木ときのこが地中でつながっていて、
お互いに必要な栄養をやりとりしているんです。
アカエゾマツの仲間だと言えますね。
一方、生きた樹木から発生きのこは、
樹木を「食べて」最終的には殺してしまう寄生菌。
アカエゾマツの天敵ですな。
秋の初めに、この森に入ったら、
二抱えもあるような立派なアカエゾマツの幹を、
びっしりときのこが埋め尽くしていました。
すわ、アカエゾマツの大ピンチ!
こんなの初めて見た!と、図鑑を調べたら、
それもそのはず、なかなかレアなきのこだとか。
その名も、いかにも北海道っぽい、エゾタケです。
エゾタケは、夏から秋にかけて、
アカエゾマツやトドマツなどの針葉樹の、
生きた木、あるいは、倒木から発生。
その多くが、この写真のように群生しています。
傘は半円形〜扇形でときに横に数個連なることも。
表面は白〜帯黄褐色で、短い毛が密生しています。
肉質で柔軟、乾くと繊維質〜革質に。
大きさは縦横それぞれ3〜12cmくらい。
厚さは0.5〜2cmほど。
傘の下面は白〜黄色で、たくさんの孔がある管孔。
1mmの間に1〜2個の孔が空いています。
食不適。
湿ったときはブナハリタケにも似て、
おいしそうに見えなくもないのですが……。
このきのこが寄生した樹木は、心材部が、
白く小さな立法状にひび割れるのが特徴です。
そうそう、この写真は早朝撮ったので、
エゾタケが胞子を放出しているシーンも、
じっくりと見ることができました。
こんな感じです。
幻想的でしょ!