毎日、毎日、森へ出かけて、
飽きたりすることはないのか?
と、たまに聞かれることがあります。
愚問ですな(笑)。
飽きるどころか、通えば通うほど、
ますますその魅力のとりこになっています。
そもそも「森」というものを、
把握できる、理解できる、と思うこと自体、
人間の思い上がりではないかと。
森は、木がたくさん生えている場所、
とか、そういう次元をはるかに超えた、
もう、小宇宙です。
人は興味があるものしか見えてない、
とよく言われますが、
森へ出かけてすぐに目に入ったものを、
じっくり見るだけでもさらなる発見があります。
また、その目に入ったもののすぐ隣とか、
周囲との関係性を考えると、もう大変。
生物も、無生物も、何もかもが森の構成要素です。
挙げ句の果てには、分子やら、微生物やら、
目に見えないものの存在すら、
しっかりと感じるようになってしまうわけで。
ああ、キリがありません。
さ、気を取り直して(笑)。
阿寒の森の魅力は筆舌に尽くし難いのですが、
そのひとつに、倒木の多さがあります。
コケや地衣類がびっしりと覆った、
年季の入った倒木であれば、ほぼ確実に、
きのこや粘菌(変形菌)が見つかります。
ほら、小さなまんまるのきのこ、見っけ!
アバタチャブクロタケは、秋に、
倒木や切り株の上に発生します。
ときに群生することも。
直径は1〜2.5cmほどと、とても小さく、
球形〜扁球形で、柄はありません。
表面は帯赤褐色、のちに暗褐色で、
淡褐色で微小ないぼ、あるいは、棘が、
びっしりと覆っています。
ホコリタケの仲間なので、
成熟すると内側が粉状になって、
てっぺんに空いた孔から、
昆虫が触れたり、降雨の刺激を受けると、
胞子をぶわっと吹き出します。
食不適。
とにかく小さいですし、
何より成熟したら粉っぽくて、
とても食べられるシロモノではありません。
まあ、きのこも可愛らしいのですが、
倒木を覆うコケや地衣類もたくさんの種類があって、
こちらにも目を奪われてしまいます。
きのこ鑑賞、森歩きの楽しみを知ってしまったら、
一生、退屈しないで済むかもしれませんぜ……。