人間の目って、実は、
想像以上に不正確なんですよね。
目と言うより、視覚情報を処理する脳、
言ったほうがいいかもしれません。
まあ、多少の個人差はもちろんありますけど。
すわ、珍しいきのこ発見!
と、わくわくしつつ駆け寄ったら、
花や木の実だったりすることは日常茶飯事。
それだったらまだマシで、
ちょっと人が多いような公園や里山であれば、
誰かが投げ捨てたゴミだったりもします。
きのこだと思って近づいたらゴミだった!
勘違いしてしまった自分に腹が立つし、
捨てた輩にもっと腹が立ちます。
きのこに限らず、野外で、いろいろな生物を、
観察したり撮影したりするのが好きな人なら、
誰もが何度も経験していることではないかと。
しかし、そんな経験があるからこそ、
「きのこ目」が育てられている、と言っても、
決して過言ではありません。
同じようなことを繰り返しているうちに、
「きのこ目」はきっと精度を増しているはず。
くじけずに頑張りましょう! ご同輩。
さて。
ロウタケです。
きのこらしからぬ形をしていますが、
れっきとした、きのこです。
なんと、不定形なんです。
自由自在に姿を変えることができる!
自由なのか、不自由なのか、判断に苦しみます……。
ロウタケは夏から秋にかけて、
地上やら、蘚苔類の上やら、
落葉やら落枝の上に発生します。
きのこ(子実体)は不規則不定形な膜状で、
ときに経が20cm以上にも達することがあります。
表面は、その名前の通りに蝋状で、
幼菌時は乳白色で、成菌になると褐色〜暗褐色に。
食不適。
見ても、触っても、
とても口の中に入れたいとは思えません。
もし、見つけた場合には、
自然がつくりだした造形の妙を、
心ゆくまで鑑賞させていただきましょう。
ちなみに、
今回ご紹介するロウタケを見つけたとき、
最初は、粘菌の変形体だと思ったんです。
で、近づいていくうちに、
あ、きのこの菌糸か、と思い直し、
さらに、すぐそばまで近づいて、じっくり見て、
ようやく、ロウタケであることが判明。
我が「きのこ目」も、まだまだです、はい。