シメジ、と言えば、
きのこ界では、超メジャーな存在です。
多くの人が「きのこ」をイメージするなら、
きっと傘があって、柄がある姿を思い浮かべるかと。
そして、色は、傘が茶色系、柄が真っ白という感じ。
これ、まさに、シメジそのものです。
まあ、シメジというきのこは、
ブナシメジとかシャカシメジとか多くありますが、
「〜シメジ」と名付けられているくらいなので、
姿かたちは基本的にそこそこ似ています。
そんな、地味な色が多いシメジグループにあって、
サクラシメジは、文字通り、ちょっと異色。
なんせ、桜色です。
赤でも紅でもなく、ピンクや桃色でもない、桜色。
サクラの花びらを連想させる優しく薄い赤系の色。
実に美しい名前ですよね。
阿寒の広大な原生林の片隅で、
人知れずひっそりと生えているサクラシメジを、
じっくり、じっくりと鑑賞する喜びたるや、もう。
いやあ、たまりません……。
さて。
サクラシメジは、夏から秋にかけて、
広葉樹の森の地面から発生します。
傘は、まんじゅう形から平らに開き、
直径は、5〜12cmほど。
表面の中央部は暗赤色〜ワイン色で、
周縁部は淡く美しい桜色です。
ひだは、やや密集していて、
初めは白く、後にワイン色のシミができます。
柄は、中実で、高さ7〜10cmほど。
初めは白く、後に傘と同色に。
食。
昔から知られているそこそこ有名な食菌ですが、
何というか、やや苦味があるので、
茹でこぼすとか、油を多めに使うとか、
料理方法に工夫が必要かと。
珍しく、ぼくも食べたことがあるのですが、
あんまり好きな味ではありません。
あしからず。
よく似ているサクラシメジモドキは、
トドマツなど針葉樹から発生します。
ちなみに、サクラシメジのように、
群生することが多いきのこは、ときとして、
ぐるりと円を描くように生えることがあります。
日本では「菌輪」や「菌環」と言いますが、
欧米では、妖精が踊った場所とされ、
「fairy ring」「fairy circle」と言われています。
なんてステキな表現!
どうして輪っか状にきのこが生えるかと言うと、
きのこの本体たる菌糸が地中で放射状に伸び、
その先端できのこ(子実体)が発生しているから。
なるほど、でしょ。