ぼくは、もともと、
きのこよりも森や自然全般に興味がありました。
学生の頃も、ヒマにまかせて、青春18切符を駆使して、
九州から北海道までいろいろな場所に出かけ、
(都道府県庁所在地はすべて訪れています)
街を歩いたり、山へ登ったりしたのですが、
阿寒湖周辺の森ほど魅了された場所はありません。
松田聖子さんではありませんが、
訪れた瞬間、ビビビ、ときたんです(笑)。
ぼくが認識していた「森」(という言葉)を、
遥かに超越した森がそこにありました。
ですから、ぼくは、
きのこが大好きなのは間違いないのですが、
単にきのこの写真が撮影したいのではなく、
阿寒の森に生えているきのこの写真が撮りたいんです。
さらに言うなら、
きのこを撮りたい、というより、会いたいんです。
阿寒の森以外で、きのこを撮影している場所は、
実はそれほど多くありません。
青森県と秋田県の境に位置する白神山地。
青森県の八甲田山周辺と奥入瀬渓谷。
毎年必ず訪れているのは、
この2か所くらいです。
春の終わりころ、北海道へ渡る直前に、
どうしてもきのこが見たくなって(笑)、
北関東のスギの人工林へ向かいました。
お目当てはスギ林ではなく、スギ林に置かれている、
役を終えたシイタケのホダ木(栽培用の枯れた丸太)。
これが思いの外、シイタケ以外の、
いろいろなきのこが発生するんです。
さて。
ヒイロベニヒダタケは、夏から秋にかけて、
腐朽した広葉樹の倒木などから発生。
そう、シイタケのホダ木からもよく発生します。
(今回の写真はまさにそうです)
傘は、最初釣鐘形で、やがて平らに開きます。
表面は、橙赤色で周縁部は橙色。
湿ったときには条線が見られます。
直径は2〜4cmほど。
ヒダは、間隔がまばらで、白から肉色に変わります。
柄は高さ3〜4cmほど、
表面は繊維質で橙黄色です。
食。
小さくて、美しくて、可愛らしいきのこですが、
食べることができます。
ただし、無味無臭なので、
それほどおいしいというわけではなさそうです。
きのこや粘菌(変形菌)が好きな方は、
シイタケの古いホダ木を目にしたら、
ぜひぜひ大切にしてください(笑)。
きっとステキなお宝になること間違いなしです。