前々から、何度も何度も申しておりますが、
森での、きのこ鑑賞、並びに、きのこ撮影の、
最も基本的な姿勢は、はらばい、です。
今回ご紹介する写真も、
もちろん、はらばいになって、
思う存分に鑑賞したあと、撮影しました。
理想的な形は、
地面により顔を近づけるべく、
地面に手のひらを重ねて置いて、
その上にアゴを載せる感じでございます……。
ぼくの仕事部屋でいつもすやすや寝息をたてている、
柴犬と同じような格好です(笑)。
要は、きのこの目線になること。
地面から生えている小さなきのこを、
これでもか、これでもか、と、凝視するのですから、
当然、できるかぎり、
きのこに目を近づける必要があるわけです。
すると、視力だけではなく、
嗅覚や、聴覚や、触覚にもスイッチが入って、
五感がグググっと敏感になります。
落葉やら腐ったシダやらが重なり合った地面の、
ちょっと鼻にツンとするような香りや、
手を動かしたときに聞こえる葉っぱがこすれる音や、
しっとりした地面の感触などなど……。
五感を駆使して思い切り森を楽しむ快感を、
読者の皆さんに教えてあげたいなあ。
さて。
小さなきのこがちらっと目に入ったので、
早速、はらばいになります。
ハナオチバタケは、夏から秋にかけて、
広葉樹、針葉樹の落葉の上から発生。
つまり、落葉を分解するきのこです。
群生することもしばしば。
傘は革のようにやや硬く、直径は0.5〜1.5cmほど。
釣鐘形〜まんじゅう形で、のち、やや平らに開きます。
表面は茶褐色で、放射状の条線があります。
傘裏のヒダは13〜15本内外なので、
間隔がとてもあいている感じ。
柄は細く黒く、中空で、やや光沢があり、
高さは、3〜10cmほどです。
食不適。
まあ、小さいし、硬いし、
食べるには不向きでしょうね。
実は、一般的に、ハナオチバタケと言うと、
傘の表面が、淡紅色〜紫紅色の、まさに花を思わせる、
鮮やかな色の個体の方を指すことが多いのですが、
この写真のような「褐色バージョン」も存在します。
残念ながら阿寒ではまだ見たことがありません……。
いつか、見たいなあ。