もう四半世紀くらい、毎年、毎年、
6月上旬、北海道でいうと春の終わり頃に、
阿寒に移り住んでいます。
自分でも不思議なのですが、
西へ向かおうとか、外国へ行こうとか、
まったく考えたことがありません。
迷わず北を、北海道を、阿寒湖を、目指します。
まあ、ツバメたちと似たようなものかな。
重要な仕事が入るなどして、2〜3回くらい、
滞在途中で内地へ出向いたことがあるのですが、
基本的には、10月下旬くらいまで、
北海道から出ることはありません。
その年、初めて阿寒に入ったら、
荷物を整理するのももどかしく、
迷わず真っ先に出かける場所があります。
ここです。
太平洋を目指す阿寒川の源流部に位置する森の、
小さな沢にかかる、小さな橋。
その上に立って、
清冽な沢の流れを見つめ、
芽吹いたばかりの新しい緑の葉を見つめ、
沢のせせらぎを耳にすると、
ああ阿寒に帰ってきたなあ、と思うんです。
この森は、川の近くということもあって、
針葉樹と広葉樹が入り混じって生えている、
いわゆる針広混交林で、きのこの宝庫。
どれほど気象条件が悪くとも、
きのこと会えない日は今まで一度もありません。
橋の上から振り返って反対側を見ると、
ほら、オレンジ色の派手なきのこ発見!
マスタケは、初夏から秋にかけて、
広葉樹、針葉樹を問わず、生立木はもちろん、
枯れた幹や倒木、切株などから、
何枚も重なり合ってたくさん発生します。
扇形〜半円形で、
表面は鮮やかな橙色〜朱紅色。
周縁部が白く縁取られています。
経は10〜30cmほど、ときに40cm超も!
厚さは1〜2cmくらいです。
裏側は、淡肉色〜クリーム色。
不正円形の小さな孔が集まった、
いわゆる管孔になっています。
肉はその名の通り、
赤っぽいような橙色っぽいような鱒色です。
食。
最初は柔らかく、後にもろくなるので、
幼菌のときのみ食べることができます。
生食だと中毒を起こすので要注意。
おすすめの食べ方はフライだそうです。
それにしても、川のせせらぎを聞くと、
気分が落ち着きますよね。
「1/f(えふぶんのいち)ゆらぎ」などと呼ばれ、
快適性との関連性が判明しています。
森と、小川。
リラックスするには最強のコンビですよね。