花々が爆発するように咲き競う北国の春。
それと入れ替わるようにやってくるのが新緑の季節。
目に鮮やかな木々の新緑は、
薄暗い森にあってもやはり格別にきれいです。
普段、きのこや粘菌を探すために、
下ばかり見て歩いているのですが、
足もとに、とても大きな葉っぱを見つけたら、
必ず上を仰ぎ見るようにしています。
というか、反射的に見上げてしまうんですね、これが。
ホオノキです。
新緑をあまり意識することがない、
深く濃い緑色が支配する針葉樹の森でも、
けっこう多くの広葉樹が生えています。
中でも、大きな大きな葉っぱが、
風車のブレードのように並ぶホオノキは、
新緑期の主役と言っても過言ではありません。
ホオノキの大きな葉を通して注ぐ太陽の光は、
目に優しいのはもちろん、心にも優しく、
この雰囲気を感じるだけでも森へ行く価値がある、
と思うほどなのですが、もちろん、
わが「きのこ目」は、ぴぴぴ、ときのこに反応。
地面に落ちている黒い塊から、
何やら紐状のきのこが発生しています。
ホソツクシタケです。
ホソツクシタケは、初夏から夏本番にかけて、
地上に落下したホオノキの実から発生します。
つまり、この黒くて大きな物体は、
なんとなんと、ホオノキの実なんです。
きのこは、細く、長く、しかも群生。
高さは2〜5cmほど、経は1mm内外で、
しばしば、1度分岐します。
幼体では先が白っぽく、基部は黒灰色。
熟すと中央部から上が太さを増し、
つぶつぶが目立ってきます。
食不適。
当然です(笑)。
見たまんまです。
その造形の妙を堪能させていただきましょう。
そして、ホオノキ、と言えば、
朴葉焼き、朴葉味噌で知られるとおり、
大きくて燃えにくく香り良く殺菌作用もある葉っぱが、
料理に使われることもしばしば。
アウトドアではお皿としても大活躍です。
森を歩くことがあったら、
ホオノキをぜひチェックしてみてください。
ちなみに、今回の写真は、ブナの自生北限、
北海道南部、黒松内町のブナの森で撮影しました。