雌阿寒岳の山麓には、日本有数の、
そりゃあ見事なアカエゾマツの純林が広がり、
きのこも、森も、両方堪能することができます。
今回は、そんな素晴らしい森を抜け、
登山道を登ってぐんぐんと高度を上げ、
雌阿寒岳の5合目くらいの高さへ。
北海道は緯度が高いので、
標高1499mの雌阿寒岳を、
本州の山々の高さに換算するなら、
標高2500mクラスに匹敵。
立派な高山です。
雌阿寒岳あたりでは、標高800m前後くらいで、
森林限界、つまり高木が生育できない環境に。
山麓を覆う巨大なアカエゾマツに代わり、
背が低いハイマツが主役に躍り出ます。
登山をする方々にはお馴染みの樹木ですね。
今回ご紹介する写真を改めて見ていただくと、
きのこの右横と写真奥に見えるのがハイマツ。
それ以外の、うにょうにょした植物は、
これまた高山帯でよく見るガンコウランです。
秋に熟す黒い実は、ほんのり甘く、食用にも。
さて。
こんな、砂礫、砂礫、の厳しい環境でも、
立派なきのこが生えてくるから、
森歩きも、登山も、やめられないわけです、はい。
ゴヨウイグチは、夏から秋にかけて、
ハイマツやゴヨウマツなどの樹下から発生します。
マツの仲間は、枝に、
数枚の葉が束になって付くのですが、
2枚、3枚、5枚が束になることが多く、
ゴヨウイグチは、その名のごとく、
5枚の葉が束になるマツから発生するんです。
傘は、まんじゅう形から平らに開き、
直径は3〜10cmほど。
表面は白のち黄色〜黄褐色で粘性があります。
傘裏はスポンジのような管孔で、
白のち淡黄色で淡い紅色の液を分泌します。
柄は高さ4〜12cmほど。
はじめは白く徐々に淡い黄色に変色。
紫褐色〜灰褐色の粒点があります。
食。
食べられることは食べられますが、
味の評判はあまりよくないようです。
それ故か、雌阿寒岳の登山道脇に、
大量発生しても採取する人はあまりいません。
もっとも、雌阿寒岳の4合目から上は、
国立公園の特別保護地区なので、
植物はもちろん菌類の採取もできません。
ゆめゆめ忘れるべからず。