実は、阿寒湖の事務所には、
乾燥させたツガノマンネンタケがいくつかあります。
ツガノマンネンタケやマンネンタケは、
半円形で、硬いので、サルノコシカケの仲間と同じく、
年々大きく成長する多年生のように見えるのですが、
毎年生え変わります。
それが、切り取って、乾燥させると、
多少色があせ、多少縮むような感じになりますが、
「万年」という名前の通りに、
けっこう長い間、保存することが可能です。
鼻の頭の油をちょいとつけて(笑)、
はあああ、と息を吹きかけつつ、
柔らかい布で丁寧にみがくと、採取前同様に、
ぴっかぴかの光沢すら維持できます。
これはもう、立派なオブジェです。
この写真のツガノマンネンタケは、
ぼくが「コケコケの森」と呼ぶ、
地面が一面コケに覆われた森の一角にある、
折れたトドマツの根株から、
ここ数年、毎年発生しています。
夏の初め頃に、まんまるの突起が出始め、
伸びると同時にどんどん横に広がって半円形になり、
手のひらを広げたくらいの大きさになると、
秋の初め頃まで、ほぼその姿を維持します。
表面は平滑でニスを塗ったような光沢がある赤褐色。
裏側は初め黄白色でやがて肉桂色に変わります。
半円の径は10cm前後、厚さは1〜4cmほど。
扇の要の部分から伸びる柄は傘と同色、
通常は2〜4cmほどで、ときに10cmを超えることも。
胞子を食べているのか、常に、小さな甲虫が、
表面にも裏側にもたくさん付いていています。
とはいえ、人間には、食不適。
マンネンタケは別名「霊芝」と呼ばれ、
漢方のお薬になるようですが、
ツガノマンネンタケに薬効があるかどうかは、
まったくわかりません。
少なくても食欲がわくようなきのこではありません。
ツガノマンネンタケを見つけたら、
ひと月くらいは放置しておいて、
そろそろへたってきたかな、という頃合いで、
採取して乾燥させます。
だって、そのまま腐らせるのは、
もったいないような気がするので……。
しかし、もう、いくつか、オブジェは確保したので、
これからは、採取せずに、放置することにします。
やはり野に置けツガノマンネンタケ……。