基本的に、ぼくは、自然が大好きだけど、
悲しいことに科学的な素養はゼロ、というか、
マイナスですらあるので、けっこう長い間、
「きのこ粘菌写真家」を自称していますが、
生物学的な知識は、ほぼ中学生レベルです。
ですから、
きのこを見に行こう!と、人を誘うときも、
観察、というより、観賞するスタイルです。
注意深くきのこそのものを見つめるのではなく、
何かひとつでも興味深いポイントがあったら、
それをとことん楽しもう、と。
写真を撮影するのも、その延長です。
自然がつくり出した芸術、
というと、言葉の意味が相反していて、
なんとなく気持ちが悪いのですが、
でも、気分的には、自然界の盆栽を見る、
と、いうような気分だったりします……(笑)。
となると、そういう行為に当てはまる言葉は、
見るだけではなく見極めて味わう、という意味の、
鑑賞、ということになるのかもしれません。
ゆえに、今回ご紹介するきのこが、
ロクショウグサレキンであろうが、
ロクショウグサレキンモドキであろうが、
ぼくは基本的にどっちでもいいんですよねえ……。
それにしても、どうです、この青。
森にあって深い海のような青。
森にあって澄んだ青空のような青。
「腐れ」という名をつけた人の、
センスを大いに疑います(笑)。
さて、今回登場したきのこは、
ロクショウグサレキンモドキです。
ロクショウグサレキンの柄は、
「皿」のほぼ真ん中から出ているのに対し、
ロクショウグサレキンモドキの柄は、
中心からずれて生えているんですよね。
それ以外は、
初夏から晩秋にかけて発生することも、
林内の腐朽木から発生することも、
2〜5mmくらいのお皿の直径も、
食べるには値しないことも、
ほぼおんなじです。
森で青く染まった腐朽木や落枝を見かけるのは、
このロクショウグサレキンとモドキのせい。
きのこはもちろん、菌糸も青いんです。
最近は、きのこや粘菌からコケや地衣類まで、
興味の幅がどんどん広がっているので、
大きな倒木を見つけたら、1時間2時間が、
あっという間に経ってしまいます。