きのこはなぜ毒を持っているのか?
その謎は、現在でも、まだ解明されていません。
普通に考えたら、外敵から身を守るため、
なんぞという理由が真っ先に思い浮かびますが、
きのこの毒は、いろいろな種類があり、
しかも、即効性、遅効性、両方あるんです。
遅効性=効くのが遅い=の毒では、
当然、自己防衛にはなりません。
むしゃむしゃ食べられちゃって終わり。
でも、きのこ(=子実体)の役割は、
次世代に命をつなぐ胞子をつくって拡散させるため、
と考えるなら、自ら進んで敵?に食べさせ、
(なんせ人間を惑わすくらいおいしいわけで)
適度に森を彷徨わせた後に殺す、つまり、
動物を使って胞子を遠くへ確実に運ばせている、
とも考えられるわけで……。
奥が深いなあ、きのこ!
さて、今回ご紹介するスエヒロタケは、
縁起のいい名前とは裏腹に、われわれ、人類にとって、
ちょっと怖いきのこなのでありますよ。
スエヒロタケは、春から秋にかけて、
針葉樹、広葉樹を問わず、倒木や枯木などから発生。
群生することもしばしばです。
傘は、扇形〜円形で、経1〜3cmほど。
表面は粗毛が密生し、白〜灰色。
傘の横や背面の一部分で基物に付着します。
傘裏のヒダは着生点から放射状に広がり、
白色〜灰色、帯紫色、淡茶褐色。
肉は革質で、乾くと縮みますが、
水分が補われると元に戻ります。
食不適。
まあ、革質で硬いし、毛だらけだし、
食べるにはまったく適しません。
それより、なによりも!
このスエヒロタケは、
人の脚から発生した記録があるのです!
さらには、
肺や気管支で菌糸が成長して、
アレルギー性真菌症を引き起こした例も……。
ひいいいいい……。
健康な人はまず問題ないとは思うのですが、
とりあえず、人にも寄生する可能性のある、
ちょっと怖いきのこなのです、はい。
とはいえ、
スエヒロタケは、冬以外なら、
日本全国どこでも見かけるありふれたきのこなので、
あまり、怖がりすぎないようにしてくださいね。
ちなみに、
きのこでちょい怖がりたい方には、
きのこを食べた人が次々にきのこになっていく、
カルト的特撮ホラー映画「マタンゴ」がオススメです。
1963年に公開された古い作品ですが、ぜひご覧あれ。