きのこファンは、春になると、
わくわく、というより、むずむずするんです。
自分のきのこフィールドに行きたくて行きたくて。
エノキタケのように冬に発生するきのこは、
やはり、圧倒的に種類が少ないですし、
サルノコシカケの仲間のような、
多年生のきのこは地味すぎて面白味に欠けます。
やはり、フレッシュなきのこに会いたい!
きのこファンにとっての「春きのこ」と言えば、
まず挙げられるのが、アミガサタケの仲間ですね。
しかも、めっちゃおいしいので、
見つけたら、一石二鳥、ならぬ、一石二菌(笑)。
1本で2度楽しめます。
実は、今回ご紹介する、
ツバキキンカクチャワンタケも、
けっこう人気がある「春きのこ」ではないかと。
見つけたら、つい、写真が撮りたくなるんです。
そう、ツバキの花と一緒に(笑)。
お皿形で地味で小さくて、
あまり目立たないようなきのこですが、
地面に落ちてしまったとはいえ、
ツバキの花はカラフルで美しいですよね。
一緒に撮らない手はありません。
きのこを撮るなら自然の状態のままで撮るべきで、
周りの葉っぱや石などをどかしたり、
きのこについてる「ゴミ」もそのままで!
という感じの、
国立公園特別保護地区のような人もたまにいますが、
きのこをモデルとして撮影したいのだから、
周囲をきれいにしたり、ゴミを取り除くのは、
逆に、積極的にすべし、というのがぼくの考えです。
(引っこ抜いて別の場所に移すのはよくない!)
もちろん、いろいろ程度問題はありますが。
さて。
ツバキキンカクチャワンタケは、
ツバキの花が咲く春に発生します。
落ちたツバキの花の上で、
ツバキキンカクチャワンタケの胞子が発芽、
花の組織を養分にして菌糸がぐんぐん伸び、
晩秋くらいに菌核をつくります。
そして、翌年、その年のツバキの花が落ちる頃に、
菌核からお皿形のきのこを生じる、というわけです。
きのこは直径3〜20mmくらいの皿形。
最初はお椀形で、だんだん開いていきます。
色は黄土色〜褐色です。
ときに、長さ10cmを超えるような、
柄も見られます。
ひとかたまりの菌核から、
数本発生することも珍しくなく、
その場合、けっこう大きさがバラバラです。
ツバキキンカクチャワンタケは、
ツバキが生えていたら、確実に見られるか、
というと、実は、そうではなく、
地表に長年の落花が集積していることが重要。
そこそこ長く植えられてないとダメみたいです。
きのこは地味でも、周囲に色味があると、
相乗効果としてきのこも美しく見えるのです。
ああ、やっぱり、春はいいなあ。
ちなみに、ツバキは北海道に自生してません。
この写真は群馬県で撮影しました。