ぼくは、基本的には、きのこを採取せず、
フィールドで「鑑賞」「観察」「撮影」することで、
十分に満足しています。
「基本的には」とあえて前置きしたのは、
もちろん、例外があるわけでして(笑)、
ポルチーニ茸ことヤマドリタケと、
マツタケを発見した場合には、迷わず持ち帰り、
その味覚を堪能させていただきます。
阿寒の森には美味きのこもたくさん発生します。
その昔、きのこに興味を持ちはじめた頃は、
食べることも楽しみのひとつだったので、
いろいろなきのこを食べていました。
前掲のヤマドリタケ、マツタケは別格として、
ぼくがおいしいなあ、と思ったきのこは、
エノキタケ、シイタケ、マイタケ、ナメコなどなど、
お店でおなじみのものでした。
そう、おいしいからこそ、人々は、
恒常的に食べられるよう研究に研究を重ねて、
人工栽培の技術を確立していったわけです。
ただし、それは、まだ、腐生菌のみ。
マツタケなどの菌根菌は苦労しているようです。
そして、もう1種、
おいしい!と、思ったきのこが、ホウキタケ。
いつも引き合いに使わせていただいている、
あの、山と溪谷社「日本のきのこ」解説子をして、
「歯切れ、口当たりは鶏のササミを思わせ、
風味は味の王様、ホンシメジに匹敵する」
とまで言わせているほどです(笑)。
ほぼ同じ場所で採取することができたので、
毎年おいしくいただいておりました。
ところが……。
ある年に、同じ時期に同じ場所で採取した、
「ホウキタケ」をいつものように食べたところ、
これが、まずいのなんの……。
ひと口食べて吐き出しました。
そして、食べたあとになって、
いつもよりも黄色っぽいことに気づいて……。
そう、採取したきのこは、
ホウキタケではなくコガネホウキタケだったんです。
はわわ!
コガネホウキタケは、夏から秋にかけて、
トドマツなどの林地で発生します。
太く白い根本から、枝が細かく著しく分岐して、
全体的になんとなく丸まっているように見えます。
色は黄金色〜卵黄色で、高さも幅も5〜12cmほど。
肉はもろく、触るとぱらぱら砕けます。
毒成分は不明なものの、誤食すると、
下痢、腹痛、嘔吐など胃腸系の中毒をおこすことが。
どうぞ、くれぐれも、ご注意を。
きのこに慣れてきたときこそ、
しっかりチェックせずに同定しがちです。
食べるためにきのこを持ち帰るなら、
念には念を入れて、石橋を叩いて渡らないくらいの、
慎重さが必要ではないかと存じます。
どうぞ、くれぐれも、お気をつけのほどを。
ちなみに、
ホウキタケの写真をご覧いただこうと思ったら、
なんと、食べるために逸ってしまったのか、
写真をまったく撮っておりませんでした。
反省!