雌阿寒岳は、阿寒湖が属する、
阿寒摩周国立公園の最高峰にして、
今なお活発な活動を続けている活火山です。
その山麓にある湖・オンネトーは、
雌阿寒岳の火山活動によって川がせき止められ、
形成されたのだとか。
昔は、魚が棲めないほど酸性度が強く、
美しいコバルトブルーの湖水が有名でしたが、
この10年くらいで急速に酸性度が薄れ、
現在の湖水は緑色に変わってしまいました。
詳しい原因は不明なのだとか。
水を覗き込むと、ハゼの仲間のような、
小魚が活発に動き回るのが見られます。
神秘的な青い湖水目当ての観光客が減ったので、
きのこ観察にはかえって好都合になりました(笑)。
雌阿寒岳は、頂上から7合目くらいまでは、
いかにも火山らしい砂礫や石や岩の世界ですが、
山麓はアカエゾマツを中心とした広大な森で、
4合目から7合目までをハイマツが覆います。
ハイマツ、というと、
高山帯を代表する植物であり、
ハイマツが生えているようなところは、
他の生物が生きるには不毛な環境、
というイメージがなくもないのですが、
何を隠そう、たくさんのきのこが発生します。
ですから、ぼくが雌阿寒岳に登るときは、
雄大な風景よりも、可憐な高山植物よりも、
ついきのこを探してしまうわけです。
アシグロニオイイグチは、
そんなハイマツの樹下で、
夏から秋にかけて発生します。
傘は経5〜8cmほどで、まんじゅう形。
表面は黄色〜黄褐色、湿時にはぬめりがあり、
肉は白く、切断すると、わずかに黄色に変色します。
傘の裏側はスポンジのような網状の管孔。
黄褐色で、触ったりしても、変色しません。
柄は高さ5〜9cmほど。
傘とほぼ同色で、黒色の粒点が密生しています。
食不適。
同じハイマツに生えるゴヨウイグチは、
食べられるきのことして知られていますが、
アシグロニオイイグチに関しては不明です。
どうぞ、ご用心。
それにしても、この、
アシグロニオイイグチという名前、
「足」は黒い点々があるものの、
黒、というより黄色ですよね。
あと、ちょっと失敗したのは、
このきのこを見つけたとき、
香りを確認するのを忘れてしまったんです。
肝心のニオイもわからず終い。
次に見つけたら、匂いを確認したく存じます。