きのことカビは、ほぼ同じ仲間=菌類=です。
ゆえに、厳密な区別はなかなか難しいのですが、
きのこ(子実体)が、肉眼で見えたらきのこ、
肉眼では見えないのがカビ、ということに。
衛生観念が今よりもずっとゆるかった、
4、50年くらい昔では、商店で買ったパンが、
カビているなんてこともありました。
取り替えてくれ、と頼むと、店のおばちゃんは、
(こめかみに四角い膏薬を貼ってたりして……)
「カビたところを取れば食べられるから」
などと言って交換を渋ったりするわけで(笑)。
でも、いまなら、よくわかります。
表面のカビたところを取ったとしても、
内部でしっかり本体が菌糸を伸ばしていることを。
人体に毒性がないカビもあるでしょうが、
カビた食品は食べないようにしましょう!
あるものにカビやきのこが生えるということは、
それがカビやきのこにとっての食料であるということ。
そう、食パンが好きな菌類がいれば、
腐った樹木が好きな菌類もいるわけです。
ヒメスギタケは、初夏から秋にかけて、
腐朽が進んだ古い広葉樹の倒木から発生します。
そう、それが、好物なんです。
傘の経は0.5〜4cmほど。
最初は半球形で、後に平らに開きます。
写真の左側が傘の開いてない幼菌ですが、
鬼が持っているようなこん棒、というか、
ちゃらちゃらした兄ちゃんの髪型、というか、
トゲトゲの鱗片がめっちゃかわいいですよね(笑)。
傘の表面は乾燥していて、褐色、渋色。
傘裏のひだは、黄土渋色〜肉桂色で、
間隔は、密〜やや疎。
柄は高さ1.5〜4.5cm。
落ちやすいツバより上部は平滑で帯黄色、
下部はたくさんの鱗片に覆われ、傘と同色。
食毒不明。
今後の研究を待たずとも、
あまり食べる気がおきないきのこですよね。
食べたら、口の中のカスが残りそう……(笑)。
カビ、というと、多くが嫌われ者ですが、
中には、おいしいチーズや発酵食品をつくってくれる、
「素晴らしい」カビもいるわけで。
カビだって、毒きのこだって、
この同じ時代に、同じ地球で、
我々と共に生きているわけです。
生きものに貴賎なし、です、はい。