ハツタケは、漢字で書くと、初茸。
きのこは秋の季語でもあるように、
マツタケやホンシメジやマイタケなどなど、
おいしいきのこがたくさん発生するのが秋。
そんなきのこシーズンの始まりを告げるかのように、
いちばん最初に姿を見ることができるので、
初茸、と名付けられたという説があります。
北海道は亜寒帯に区分されるので、
本州に比べるとけっこう寒いわけで、
阿寒湖がある道東に限るなら、
実感的には1年の半分くらいが冬みたいなもの(笑)。
基本的に10月おわりから4月くらいまで、
家の中のストーブは点けっぱなしです。
亜寒帯、と言っても、真夏であれば、
最高気温が30度を超えることも珍しくありません。
でも、最低気温は20度前後にまで下がるので、
寝苦しい夜はあってもシーズンに数日くらい。
夏でも夜に窓を開け放して寝たら寒いほどです……。
そして、例年、お盆を過ぎると、
気温が30度を超えることがほぼなくなって、
最低気温も一桁になることが当たり前になり、
秋だなあ、という気分になります。
そうなると、ハツタケの全盛期です。
ハツタケは、夏から秋にかけて、
針葉樹の林地から発生します。
傘は経5〜10cmほどで、まんじゅう形や杯形など。
表面は、淡赤褐色〜淡汚褐色で、
やや濃い色の環紋が見られます。
擦り傷などの刺激で藍緑色の汚斑が生じており、
傷をつけると、暗紅褐色の乳液が滲み出ます。
傘裏のヒダは柄に長く伸び、傘と同色で、間隔は密。
柄は高さ2〜5cmほど。同幅で傘と同色。
暗赤色〜藍緑色の斑紋があります。
食。
肉質は硬いけどもろく、口当たりはよくありませんが、
香りがよく、こっくりとした旨味があります。
和風の汁物から洋風の煮込み料理、混ぜご飯など、
利用範囲が広い、優秀な食菌です。
松林で発生し、似たような毒きのこがないこと、
傷を付けると暗紅褐色の乳液が染み出し、
やがて青く変色するので同定が比較的楽なことから、
初心者でも安心して楽しめるきのこ。
だから、初茸、なのだと言いたいほどです(笑)。
ちなみに、その昔、
初めてほぼ日さんにお邪魔して、
糸井重里さんときのこがらみの話をしたとき、
話題に出たのが、このハツタケでした。
何でも糸井さんのお父さんが、
秋になるとハツタケ採りをしていたので、
糸井さんにも馴染みがあるきのこなのだとか。
初めてほぼ日さんにお伺いをして、
初めてお目にかかった糸井さんと、
初めて話題にしたきのこが、
ハツタケだったのでした……。
お後がよろしいようで。