ぼくは、普通の人に比べたら、
きのこの図鑑を多く持っていると思いますが、
ただ持っているだけ、というか、
本棚の飾りにしているだけ、というか、
そう、宝の持ち腐れと言うべきか、
それほどは活用してません。
ぼくの友人の小学校入学前の息子は、
あの、漬物石の代わりになるという(笑)、
山と溪谷社の『日本のきのこ』を、
暇さえあれば熟読玩味しているとかで、
きのこ知識は、はるかにぼくを超えています。
森のきのこ撮影に連れて行って、
片っ端からきのこの名前を質問したいです、ほんと。
すごいなあ。
ぼくの感覚では、森で見つけるきのこの、
少なくない数が初対面のきのこのような気がします。
まあ、それゆえ、毎回、毎回、
新鮮な気持ちできのこと対峙できるんです。
一緒に森を歩くとわかりますが、
ぼくは、いまだに、きのこを見つけるたびに、
「あっ」とか「うわっ」とか、
無意識のうちに叫んじゃってるらしいです。
まあ、嬉しいのだから仕方ありません。
とある夏、トドマツを中心にした、
北海道らしい針広混交林を歩いているとき、
今回ご紹介する、このモミジタケを見つけたんです。
ホウキタケの仲間のような珍しい形だなあ、
と思って、写真をたくさん撮影して、
事務所に戻ってから図鑑を調べたら、
ほどなくモミジタケだと判明しました。
発生するのは、主に、トドマツなどの林地。
発生時期は、夏から秋にかけて。
高さは4〜6cmほど。
柄があり、直立して、革質で樹枝状。
紫褐色〜暗褐色。
枝の上端部は平たくややヘラ形。
そして、図鑑には、衝撃の1行が……。
生のときは強い不快臭がある。
不快臭!
ああ、いったい、どんな匂いなんだろう?
すんごく気になっちゃいます!
この事実を知ってたら絶対に匂いを嗅いでいたのに。
と、いうことで、自らの知識の無さを、
ちょっとだけ呪いました。
食不適。
不快臭のするきのこを、
あんまり食べたいとは思いませんよね。
しかも、革質だし……。
見て、そして、匂いを嗅いで、
楽しませていただきましょう。
と、いう教訓があって以来、
暇があるときに図鑑でも眺めよう、
と思ったりするのですが、
本箱、あるいは、電子書籍のアプリには、
いろいろな誘惑に満ちていて、
ついついマンガなんぞを読んでしまうわけで。
だめだこりゃ。