ぼくは、長年、食物としてではなく、
生きものとしてのきのこに興味があり、
まったく飽きることなく、
観察、鑑賞、撮影を続けているのですが、
きのこと同じくらい、森が好きです。
人間が管理している雑木林とかと、
天然の森の何がいちばん異なるかというと、
倒木のあるなしではないかと。
倒木、最高っす。
大きな木が倒れたら、邪魔だし、危ないし、
片付けてしまおう、というのが人間的思考ですが、
天然の森では、すべて、あるがまま。
大きな倒木が片付けられるには、きっと、
何百年、あるいは、何千年とかかるでしょう。
片付けの主役は、きのこなど菌類です。
もちろん、倒木が分解されるまでは、
小動物や昆虫や土壌生物やバクテリアなどが、
大なり小なり関係しているでしょうが、
樹木などに含まれる難分解性物質を分解できるのは、
なんと、きのこなど、菌類だけ。
もしも、菌類が存在していなければ、
森は、倒木や落葉だらけになっちゃいます。
逆に言うなら、
森を森たらしめる倒木をチェックすれば、
菌類=きのこに出会える可能性が高い、というわけ。
なので、ぼくは、阿寒の森のあちこちに、
「マイ倒木」を持っていて、
それをローテションで回って観察や鑑賞するのが、
大きな楽しみのひとつなんですよね。
今回ご紹介するサンゴハリタケは、
そんな倒木巡りの中で見つけました。
サンゴハリタケは、秋に、
ミズナラなど広葉樹の倒木や枯木から発生します。
きのこではありますが、傘は持たず、
サンゴ状に分岐する「枝」を横に伸ばし、
その枝の下面から無数の針が伸びていきます。
全体的に白く、
ひとかたまりの経は10〜20cmくらいで、
針は円柱状、長さは1〜6mmほど。
食。
風味にまったく癖がなく、
和風、洋風、何の料理にも合うとか。
ぼくは食べたことありませんが(笑)。
それにしても、きのこは、
生きた木に寄生して枯らしてしまったりするので、
すなわち、それが、倒木の原因でもあるわけで、
となると、倒木をつくるのも、片付けるのも、きのこ。
きのこはすげえなあ。