灯台下暗し、と言いますが、
自分にとって身近な場所であるほど、
実はあんまり知らなかったりします。
ぼくは、阿寒湖周辺で、
きのこの撮影をするようになって、
かれこれもう15年くらいになろうとしていますが、
あるとき、ふと、
雌阿寒岳やオンネトーの周辺に広がる森や、
雄阿寒岳の麓や阿寒川に沿った森には、
けっこう頻繁に出かけているものの、
温泉街に隣接した阿寒湖畔の森は、
未知の世界であると気づきました。
カヌーから阿寒湖畔の森を眺めることはあっても、
その森を歩いたことはほとんどなかったんです。
思い立ったが吉日、ということで、
とある秋の朝、カメラを持って、いざ阿寒湖畔の森へ。
いやあ、感動しました。
当たり前ですけど、普通に、北方圏の森なんです。
かつて樹木が伐採された場所もあったりしますが、
トドマツやアカエゾマツを中心に、
ミズナラやカツラやダケカンバや入り交じる、
いわゆる針広混交林がそこにあるわけで。
そのとき、大きなトドマツの倒木の、
根本近くで、美しいきのこを発見!
初めて見る、オニタケです。
オニタケは、夏から秋にかけて、
各種林内や庭園などの黒土上から発生します。
木々と共生して栄養のやりとりをする菌根菌ではなく、
主に落葉を分解する腐生菌のようです。
傘は経7〜10cmほど。
円錐形からやがて平らに開きます。
表面は帯黄褐色〜帯赤褐色で、
その上に暗褐色で錐状の小突起がびっしり。
これがオニタケの名前の「鬼」の由来。
角がたくさん生えているってことですね。
傘裏のヒダは白くて間隔が狭く、分岐しています。
柄は、高さ8〜10cmほどで、
根本がやや膨らんでいます。
マントのような白くて膜質のツバがあり、
ツバから上部は白く、
下部は淡褐色で傘と同様の小突起が見られます。
毒。
食べられる、とする図鑑もあるようですが、
海外では有毒成分が見つかっているとのことで、
胃腸系の中毒を起こす可能性があるようです。
食べないほうが無難、というか、
食べないようにしてくださいね。
それにしても、
阿寒湖周辺の森の奥深さを、
ますます身に沁みて感じます。
すぐ近くに森がある暮らし。
うらやましいでしょ!