分類学的に言うならば、
きのことカビは、ほとんど同じ仲間で、
はっきりと区別することはできません。
きのこもカビも、真菌類と呼ばれ、
糸状の細胞である菌糸が集まって、
ひとつの集合体になったもの。
きのことカビの違いは、一応、
目に見える子実体をつくるのがきのこ、
つくらないのがカビ、とされています。
子実体というのは、
胞子をつくって散布する生殖器官のこと。
つまり、
我々が「きのこ」と呼んでいるものは、
実は、きのこの中のひとつの器官に過ぎず、
正真正銘のきのこの本体は、
土の中や倒木の中に広がる菌糸なんです。
公園とかキャンプ場とかの、
すごく硬い土の地面からきのこが生えてきて、
ちょっとびっくりすることがあります。
それから、きのこが発生する樹木だって、
表面はすんごく硬いですよね。
石や鉄のように硬いわけではないのに、
それらを突き破って世界に姿を現すきのこ。
すごいなあ!
と、言いたいところですが、
まあ、きのこは微生物なので、
地面や木の隙間を通り抜けて出てくるわけです(笑)。
今回ご紹介するツチカブリは、
その名前の通り、土をかぶったような姿を、
よく見かけます。
地面の隙間を抜けて子実体を形成するのではなく、
地面の下で子実体を形成しつつ、えいやあ!と、
土ごと上に伸びてくる姿は、
個人的にはとても感動的です、はい。
ツチカブリは、夏から秋にかけて、
広葉樹林の地面から発生(ときに群生)します。
傘は経4〜20cmほどで、
まんじゅう形から平らに開き、
やがて浅い皿状に反り返ります。
表面は乾燥していて無毛、
白色のち黄色味を帯びます。
ヒダは白色〜クリーム色で、極めて間隔が密。
柄は長さ3〜9cmほどで、中実。
円柱形で基部に向かってやや細くなっています。
全体的に赤褐色の斑点が見られることもあります。
肉は白くて脆く、
無臭ですが、とても強烈な辛味が!
傷つけると白い乳液が出るのですが、
これがまた辛いのなんの……。
毒成分はないものの、
とてもじゃないけど食べられません。
傘と柄を持つ白くてそこそこ大きなきのこは、
食べられないものが多いので、
どうぞ、ご注意を!