スッポンタケの仲間のように、
悪臭を放つきのこを除けば、
森できのこを探そうと画策するとき、
頼りになるのは、目、そう、視力です。
きのこを探すなら、目が多い方がいいので、
独りで歩いているときより数人で歩くほうが、
断然、きのこがたくさん見つかります。
目玉が2個よりも4個6個の方がいいに決まってます。
きのこファンが2〜3人集まろうものなら、
阿寒の森は本当にたくさんのきのこと出会えます。
それはそうと、
同じきのこを数人で見た場合、
本当に他人が自分と同じに見えているのか、
疑問に思ったりしたことはありませんか?
だって、そもそも、お互いに、
目も、それを司る脳も違うのですから、
完全に同じに見えるわけはないと思うのです。
まあ、だいたい同じように見えていることは、
言葉のすり合わせで確認していけます。
ただ、ぼくがまず思い浮かべる赤と、
Bさんが思っている赤も違うはずで、
いろいろ考えていると眠れなくなっちゃいます(笑)。
色のことだけに。
さて、今回ご紹介するブドウニガイグチは、
その名のとおり、傘のぶどう色が特徴的です。
とはいえ、手元にある図鑑によっても、
色の表現、そして、掲載されている個体が、
けっこう違っていたりします。
『北海道のキノコ』では「淡紫のぶどう色」、
『新装版山溪フィールドブックス7きのこ』では、
「ワイン褐色」とあります。
いろいろ混同させて申し訳ありませんが、
ぼくは基本的に北海道で写真を撮影しているので、
説明は『北海道のキノコ』に準じています。
ご理解のほどを。
本題に戻ります。
ブドウニガイグチは、夏から秋にかけて、
トドマツなどの針葉樹、ミズナラなど広葉樹の、
林地から発生します。
傘は経4〜7cmほどで、まんじゅう形。
傘裏はヒダではなく小さな孔がたくさん空いた管孔。
白色で、成長すると帯ピンク色に。
傷つくと褐色に色が変わります。
柄は傘と同色で高さ4〜6cmくらいです。
食不適。
毒はないようですが、
名前のとおり、すんごく苦いらしいです。
そうそう、きのこの色を表現するとき、
帯赤色、など「帯」という言葉がよく使われています。
ぼくも図鑑を鵜呑みで普通に使っていますが、
他の図鑑には見られない色の表現ですよね。
でも、意味ははっきりわかるので、
これを考えた方は素晴らしい!