生きものが好きな人にとって、
やはり、冬は、不毛な季節ではないかと。
冬に活発な行動を見せる生物もたくさんいますが、
昆虫や、草花、そしてきのこや粘菌を見るなら、
やはり、春から秋にかけてがベストですよね。
春を呼ぶきのことして、ファン垂涎の存在は、
言わずとしれた、アミガサタケ。
公園や街路樹脇など案外身近な場所で見つかります。
しかも、欧米では、高級食材として知られ、
きのこファンの心だけではなく、
胃袋までも満たしてくれる稀有な存在ですね。
ぼくの場合、
春を告げてくれるきのこは何だろう?
と、考えてみたのですが、
シロキツネノサカズキモドキ、あるいは、
ツバキキンカクチャワンタケかなあ、
と悩みつつ、ああ、このきのこがあった!
と思い出したのが、今回ご紹介する、
ピンタケなのでした。
ピンタケはとても不思議な特徴があります。
なんと、なんと、水中で発生するんです。
春になったら、
沢筋や水たまりなどの水際をじっくり探すと、
けっこう簡単に見つけることができるはず。
座り込んでじっくり探してみてください。
水辺で見られるきのこの多くは、
水中に落ちた枝などから発生するものの、
水面から上ににょきにょき伸びてくるのですが、
我らがピンタケは材が水中に没していても、
そのまま水中で発生します。
水中きのこと言っても過言ではありません。
水に浸っている腐朽木や倒木上から発生します。
ぱっと見ると傘と柄を持つきのこに見えますが、
胞子は頭部の裏側ではなく表面部分につくられます。
水面から上に顔を出している場合であれば、
普通に胞子を飛ばすのでしょうが、
水中にいるときは水に胞子を流すのでしょうか?
とても気になります。
鮮やかな黄色の頭部と、
黒い鱗片が付いている柄部がありますが、
全長は1〜1.5cmほどのとても小さなきのこです。
まあ、これだけ小さなきのこですから、
食べることなどあまり考えずに、
わくわくしながら観察しましょう!
水辺で生きものを観察する人は多いと思いますが、
小さな沢や湿地があったら、ぜひ、
きのこも探してみてください。
春が更に楽しくなること請け合いです。