もしかしたら、写真をご覧になって、
どれがナガミノクロサラタケなのか、
迷った方がいらっしゃるかもしれません。
実は、なんとなんと、
穴の中の真ん中やや右にいる、
黒いお皿のようなきのこと、
穴の周囲に生えている白い頭を持つきのこは、
まったく姿が違いますが、同一種なんです。
すみません、紛らわしくて。
お皿のような形をしたものが有性世代、
棒のような形をしたものが無性世代。
つまり、このきのこには、
有性、無性、2つの生殖方法があるわけで。
有性生殖は細胞の融合で新しい個体をつくるので、
遺伝的には多様です(こちらが胞子をつくります)。
一方、無性生殖の場合、新しく生まれた個体は、
親とまったく同じ遺伝情報を持つクローン。
胞子を飛ばして新天地へ向かうなら、
遺伝的には多様な方が有利でしょうし、
今、発生している場所が適地なら、
そのままのクローンを増やせばいいわけです。
ナガミノクロサラタケ、恐るべし!
さてさて。
ナガミノクロサラタケは、夏から秋にかけて、
シナノキやカツラなど広葉樹の倒木から発生。
樹皮を突き破ってにょきにょき伸びてきます。
はじめはお椀形で、
成長するとともに次第に平らに。
中央部はやや凹み、縁は外側に屈曲します。
お皿の直径は1〜1.5cmほど。
やや緑色を感じさせる黒色です。
柄は円筒形で長さは2〜6mmくらい。
一方、無性世代の棒状のきのこは、
白い球状の頭部と黒い柄部分からなり、
長さは0.5〜1cmくらいです。
食不適。
まあ、小さなきのこですから。
探すのもなかなか大変なので、
見つけたら、感謝の気持ちを持ちつつ、
じっくり観察させていただきましょう。
それにしても、今回の写真は、
情報量が多いと思いませんか?
マクロレンズとルーペを駆使して、
超拡大で撮影したのですが、
ナガミノクロサラタケに加えて、
いろいろなものが写っています。
白いぷちぷちした円状の物体も、
名前はわかりませんが、きのこの一種です。
また、透明感ある緑色の小さな葉が連なる、
コケの一種もよくみると非常に鮮やか。
たまりません!