きのこ、と言うと、普通の人は、
傘があって、柄があって、傘の裏側がヒダで、
お店で売っているシイタケやマツタケのような、
いかにもきのこ、という形を連想しますよね。
例えば、落葉や落枝などから発生する、
アシグロホウライタケなどは、
傘の直径が数mm〜1cmくらいの微小きのこですが、
よくよく見てみると、
傘の裏側にはちゃんとヒダがあり、柄もあり、
いかにもきのこ、という形をしています。
ぼくは倍率10倍のルーペをいつも首からぶら下げ、
きのこでも粘菌でもコケでも地衣類でも落葉でも、
とにかく片っ端から拡大して観察するのですが、
その面白さを知ってしまうと、
なかなか現実世界に戻れなくなってしまうほど。
森を歩いていてすぐに目に入るような、
ある程度の大きさを持ったきのこではなく、
地面や倒木をなめるように凝視して、
肉眼ではきのこかどうか判断できないような、
ルーペで見てはじめてきのこだとわかるような、
小さいきのこを見つけることに、
この上ない快感を感じてしまうわけです。
また、きのこの形は多種多様で、
棒状だったり、球形だったり、サンゴ形だったりと、
きのこらしからぬ形をしているものも、
たくさん存在しています。
エゾシカやヒグマの糞も、
ある程度時間が経っているものであれば、
けっこうきのこやカビが生えるんですよ。
そしてまた、動物の糞から出る菌類は、
基本的にはとても小さいのですが、
本当に美しいんです、本当に、本当に!
地面に腹ばいで舐めんばかりに動物の糞を凝視する姿。
とうてい人には見られたくありません……(笑)。
さて、今回ご紹介するアカツブタケも、
まったくきのことは思えないような姿です。
ぼくも、最初見つけたときは、
昆虫の卵か何かだと思いました。
でも、経験が、よく見ろ!と叫んでるので、
近寄ってよく見たら、ビンゴ!
きのこだったというわけです。
アカツブタケの仲間は、このように、
小さなつぶつぶがたくさん集まっています。
ひとつひとつのきのこは小さいのですが、
たくさん集まっているのでけっこう目立ちます。
この写真のきのこは、広葉樹の枯木から発生。
一粒の直径はだいたい1mmくらいです。
よく見ると表面にはイボ状の突起があり、
いくつかのきのこにはいかにも胞子を放出します、
という穴が見られます。
これだけ小さいと、
まあ、食べる気にはなれませんよね。
触ると硬くてカチカチです。
アカツブタケの仲間は、
他にもたくさんあるようなので、
ここでこの写真のきのこが、
「アカツブタケ」であるとは断言できません。
正確には「アカツブタケの仲間」ですね。
あしからず。
それにしても、きのこ、面白いでしょ!