きのこに限らず、
特定の生きものに興味を持ったら、
まずは、その分野の、
一番ポピュラーな図鑑を買いましょう。
今や、インターネットで検索したら、
それこそ、星の数ほどのサイトで、
写真が載っていたり、解説があったりしますが、
これらは、珠玉混合のピンきりなので……。
昨今では電子書籍もかなり充実していますが、
とにかく、最初は「紙」の図鑑を買いましょう。
と、いうのも、常にそばに置いておいて、
気が向いたときや時間があるときに、
図鑑を手にとって、読み込むでもなく、
適当なページをぺらぺらめくる、という行為は、
それだけでもすごく楽しいんですよね。
つぎつぎに知らない生きものが現れますから。
気になったページには、
付箋を貼ったり、書き込みをしたりすると、
新しい情報でアップデートされるし、
どんどん自分に馴染んでくるから、
半端じゃない愛着がわいてきます。
書き込みの紙を貼ったり挟んだりして、
元の形が残らないほどぶくぶくに膨らんだ本の、
愛しいことといったら、もう!
同じ紙でも図書館で借りた図鑑では、
当然書き込みなどはご法度ですからねえ……。
例えば、今回ご紹介するオソムキタケは、
最近発行された図鑑じゃなければ掲載されてません。
(拙著『あした出会える きのこ100』には掲載!)
自分が所持するきのこ図鑑のムキタケのページに、
ぜひオソムキタケの特徴を書き込んでください!
さて。
オソムキタケは、晩秋に、
ブナ帯などやや冷涼な地域の広葉樹の、
枯木や倒木から、多数重なりあって発生します。
傘は半円形〜扇形で、径は5〜10cmほど。
オリーブ褐色〜暗褐色ですがやや紫色を帯びることも。
表面は平滑で、微細毛に覆われ、
湿時には粘性が見られます。
そして、全体的に、水分をたっぷり含んでいます。
ヒダは間隔が狭く、白色〜橙白色です。
柄は淡黄色〜橙色で、短く太く忠実。
傘の片側に付くのであまり目立ちません。
秋の半ばに発生して傘が黄色みを帯びている、
「本家」ムキタケとは別種だと、近年判明しました。
食。
ムキタケとともに、鍋物などによく合う、
秋を代表する食用きのこです。
毒きのこのツキヨタケの誤食率が高いのは、
主に本種やムキタケと似ているからだと思われます。
ツキヨタケは、
傘に鱗片がある、
柄の基部がツバ状に隆起、
柄の基部内に黒いシミが見られる、
などの特徴があります。
くれぐれもご注意のほどを。
それにしても、
日本には1万種を超すきのこがあると言われていますが、
名前がついているきのこは、わずかに3000強。
日本の全きのこを網羅した図鑑が出たら、
すごいことになりそうですねえ……。
その頃には、紙の本は少数派で、
電子書籍がメインになっているかもしれませんね。